第17話 話し合い
俺の前世について信じるかはそれぞれに任せるしかない。俺は真実を伝えたのだから。
「これからテメェの事は龍人と呼ぶわ。それで龍人はうちの娘をどうするつもりだ!」
「勿論、私と結婚を前提にお付き合いします。」
聞かれたの俺だよね? 何故か真っ先に萌衣さんが答えた。
「うちの娘と結婚を前提にお付き合うだと! 龍人はロリコンなのかよ!」
「ちょっと! 私はまだ何も答えてないんですけど! それに私は前世の記憶は持っていますが10歳です! 精神はどちらかと言うと身体の年齢に引っ張られている感じで子供よりです。そうで無ければ迷宮での件はもう少し落ち着いた対応を取れたし、あんな無謀な事は多分しなかった筈です。」
「う~ん、どうでしょう? 前世の話しを聞いた限り、その男の人は無謀でも助けに向かったのでは無くて?」
どうだろう? もしかしたらそうかも知れない。
「否定できないかもしれいですね。それで萌衣さんの事ですが、グループメンバーとして鍛えるつもりでいます。今のままだと正直言って先に進め無いですしね。そのぅ、付き合うとかはもう少し考える時間が欲しいです。」
二人の事は好きだけど、それが恋愛感情かと問われれば微妙なところだろう。今は友人がしっくり来る。
「ほぉ~うちの娘とは付き合いたく無いと・・魅力がねぇと言いたいんだな!」
「それは違います! 萌衣さんは可愛いですし、素敵な人です。ただ今回の件で命を助けられた事で私を美化し過ぎています。私はそんな人間では無いです。今世では自由気ままな冒険者になり、スローライフって言うんでしたっけ? そんな生活も良いかなって思っています。職業も従魔士で誰にも期待されていませんからね。ただ、萌衣さんと雫さんは違う。二人はこの世界で何処までも輝ける。きっと、私は二人の邪魔にしかならない。学校の様子を見れば一目瞭然です。」
「そんな事無いもん! 私は地位も名誉も欲しくない! 私はただ真甚くんの隣に居たいだけ何だよ!」
「そうです! 私も初めはお父さんのような冒険者を目指していました。でも今は真甚くんと一緒に冒険するのが私の目標です! 邪魔にしかならないなんて言わないで下さい!」
「二人の気持ちは嬉しいんだけど、将来の可能性を今狭めるのは得策では無いと思う。二人は色々な可能性を選べる立場なんだ。だから、学校を卒業するまで悩んで自分の道を見つけて欲しい。その為の応援だったら幾らでも手伝うからね。」
俺の場合は家の事があるから表だって動けない。家の目が届かない場所で冒険者として生きる方が問題が少なくて良い。家からの監視も無いから、既に俺の事は忘れているのだろうけど安心は出来ない。
「はぁ~龍人は難しく考え過ぎだ。これだから童貞は手に負えねぇな。付き合って合わなかったら別れれば良いだけだろうがよう。若いうちは遊んでおけば良いんだよ。女遊びなんて若い時にしか出来ねぇんだからよ。5、6人に手を出しても誰も文句なんか言いやしねぇってんだよ。」
萌衣さんのお父さんがいきなりぶっこんできた。うなずいているのは雫さんのお父さんだけだよ。隣を確認しなよ! 奥さんから殺意が漏れ出してるよ!
「10歳なのですから童貞なのは当たり前でしょ!?」
「前世でも童貞だったんだろ?」
「そんなわけない・・・って、前世の男は今は関係無いですよね?」
「ほぉ~やることはやってたんだな。安心したわ。それと俺は
「それではこれからは蓮司さんとお呼びしますね。それと私はどうも女遊びとかは無理そうです。」
「全くしょうがなぇな。成人したら、良い店に連れてってやるよ。ちょっと、お高いけど、龍人なら」
「ねぇ、蓮司。さっきから子供に何を教えているのかしら? 女遊び? 5、6人に手を出しても良い? 蓮司はそんな事を思っていたの?」
「お父さん、最低です!」
部屋の空気が重い。
「お・俺がそんな事をする訳がねぇだろ! た・龍人を試したんだよ! 今時の若い奴にはそんな奴が多いと聞くしな。龍人なら萌衣を任せても大丈夫そうだな。良かった、良かった。」
「蓮司、帰ったら話しをしましょうね。」
「凍也、あなたもですよ。頷いていたのは凍也だけでしたわよ。」
「えっ!? 違うんだ! 私も最近の子供はそう言う人が多いと聞いていたから頷いただけでだな。私の考えは蓮司とは全く違うからね。」
「何を言ってやがる。凍也だってさんざん遊んで来ただろうがよ!」
「何を出鱈目な事を言うんだ! 俺はいつも真剣だ!」
「凍也、後でゆっくりと話しを聞くわ。だから黙りなさい!」
「はいぃ!」
墓穴を掘った二人は睨まれてシュンとした。
「話しを戻しましょう。その前に私は二階堂優香、雫の母親です。隣のは夫の二階堂凍也、これから宜しくお願いしますね。それで龍人くんはうちの会社に色々と商品を卸しているとの事ですが、詳しく説明してくれますか?」
「こちらからも宜しくお願いします。それと商品の事ですが、説明すると長くなりますけど大丈夫ですか?」
「問題無いわよ。」
普通は隠した方が良いのだろう。ただ、商品を扱ってくれているので知って貰った方が都合が良いと思い話すことにした。
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