第5話 闘峯身氣


「この俺様と拳で殴り合える奴なんてレオンが始めてだ。そんなレオンにはゲイトリュート武神術免許皆伝をやるよ。」


「要らねぇよ。免許皆伝っていっても一つしか使えねぇしな。俺よりお前の弟子にでも与えてやれよ。」


「無理無理。あいつらはまだ早い。最低俺と殴り合えねぇと駄目だ。」


「高望みし過ぎなんだよ。それこそお前と殴り合える奴なんて居ねぇだろうが。」


「ククク、レオンは一つだけに特化して才能があった。まさか、ゲイトリュート武神術秘奥技『闘峯身氣とうほうしんき』を習得したんだからよ。俺以外に習得出来た奴なんて居ないんだぞ。」


そう話すのはゲイトリュート武神術の宗主、武神ゲイトリュート・バルガストだ。魔神討伐隊の一員で戦闘狂、幾度となく戦った戦友である。ある時、訓練相手が欲しいと言うことで模擬戦に付き合い、その過程で教えを受けた。


そして、俺はどうやら《気》で肉体を強化する事に長けていたらしい。ゲイトリュートと殴り合う内に開花しゲイトリュート武神術秘奥技『闘峯身氣とうほうしんき』へと至っていた。


「ハハッ! それでも俺は騎士だからな、格闘よりこっちの方がしょうにあってる。格闘だとお前に手も足も出ないからな。ただ『闘峯身氣これ』を騎士術に応用すればお前とだって戦える。」


「ククク、だから免許皆伝をやるっていってるんだよ。免許皆伝があれば、技術の継承は認められるから後から揉めなくて良いぞ。」


この世界でも技の継承は色々な問題がある。その中でもゲイトリュート武神術は厳しい制限がかけられており、技の伝授や継承は資格のある者でしかしては成らない。なので、ゲイトリュートから教わった技をアレンジしたりするのも資格がないと駄目なのだ。


「わかった。有り難く免許皆伝を頂くよ。」


「そうこなくちゃな! それじゃ続きをしよう。」


あれから幾度と模擬戦を繰り返した。




◆◆◆◆◆◆◆◆



この力は強靭な肉体を造ってから使うつもりだったんだよな。今の身体で使用すれば身体が持たない。


それで俺は考えた。今の死地を乗り越える為の方法をそして導き出した。


スキル『黒魔鋼』


ゲイトリュート武神術秘奥技【闘峯身氣とうほうしんき


グゥ・・


思った通りだ。スキル『黒魔鋼』は身体の表面だけでは無く、身体の内部に渡る全てを鋼へと強化する。


それでも長くは持たないか・・・


パキパキパキパキ


折れた氷の槍を魔力で最大まで補強して造り変える。


ふぅ


騎士王術 戦技『烈旋断界ダンゼツ


様子見する時間など無い! 始めから全力で仕留めに行く。


ピシッ‼️


ズシャ!


軌道をずらされた!? 油断していた筈なんだが尾で上手くずらされた。腕は斬り落とせたが・・


GURAAAAAAAA!!!!!


ビリビリビリビリビリビリ


騎士王術 戦技『絶対防壁』


俺は即座に追撃を諦め少女達の前に立ち『絶対防壁』を築いて護った。あんな咆哮を浴びれば只では済まない。それに


「二人とも合図をしたら走れ!」


時間が無い! あいつは急激に成長している。二人を助けるには今しかない。


「今だ! 行け!!」


咆哮が途絶えた瞬間に行動を開始した。


ウオオオオオォォォーーー!!!!


生命を燃やす!!


騎士王術 奥義『英雄の誓いマイロード


グサッ! ドゴォーン!!


GURYARYARYAA!!!!


光の速さで突き抜ける。流石の魔物もこの速さには対応出来ずにくらう。氷の槍は腹部を貫きそのまま壁に縫い付けられる。魔物から絶叫が上がる。


「何をしている! 速く行け!!」


グラッ ドン!!!!


パキン!!!!


ガハッ!!!!


縫い止めていた氷の槍が粉々に粉砕され消えていった。そして、斬り落とした腕が再生し俺の腹部に突き刺さる。その一撃で鋼化した筈の身体に罅が入った。


余りの衝撃に視界が揺らぐ。もう少し、時間を稼がないと・・・


ドン! ガンガン! ドン! ドン!


ハァ ハァ・・・


肉体の性能が違い過ぎる。強大な力の前には武も知も関係無い。一撃一撃が身を削る。一撃一撃に集中し力を受け流す。


ズガガガン!!!!


意識が遠のく・・・

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