第5話 冬の風

独り、冬の風の中を歩く

冷たさをともなって、ひたすら進む

どこに進むのかも分からず

何かを求めたくて、歩いている


町々を渡り歩いて、歩んできた道を振り返る

心地良い風は幾度いくどもあったのに

渡り歩くのは、いつも冷たさの中


冷たい中を歩くのは、そこにいる人が温かったから

失敗しても、笑って、立ち上がらせてくれたから

何も知らなかったことを、分からなかったことを

ただ笑って、教えてくれたから


外面そとづらしか知らない

上澄うわずみしか見ない

重ね重ねの偏見で見つめられ

そんな遊びには興味は無くて


ひたすら求めるのは、どこかの冷たさの温もり


遠くで、街明かりを見つめて

想いにふけ

歩けば歩くほど、迷いの中

それでいいんじゃないか


お前の瞳は何の為にある

いつわりではなくて、真実を見る為だろう

お前の足は何の為にある

真っ直ぐ、自分の気持ちに歩いていく為だろう


頭の中で、言葉を繰り返す


冬の風とともに歩いて行くのは

悪くない


なぜなら忘れていた温もりを、教えてくれるから













































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