第15話 飾り

 だまだまし生きて来た

 外では、常識じょうしきを着飾っている

 ただの臆病おくびょうに見られたくなくて

 本当の気持ちは、部屋にかざっていた

 どこにも正解はないから


 不完全燃焼ふかんぜんねんしょうの疲れた夜は

 かざったものをながめて

 答え合わせをしたくなる

 どこにも正解はないのに


 眺めては

 本当の気持ちを出す怖さに

 気づいていない

 出さないままが当たり前だと思っていたから

 眠れない夜は

 その答えを探している


 手を離してしまった

 普通の生活がしたくて

 周りがそれを手に入れてくのを横目で

 違う道を歩めば自由だと思ってた


 離れれば

 みじめやうしろめたさから

 自由になっても失うことは怖かったから

 飾っていた


 時は止まり想いは苦しいまま


 何も間違っちゃいない

 いて責めるのは、やめよう

 正解はないのだから


 空っぽの心で願う

 涙を流して願うことも、やめよう


 飾ったままを取り外し

 混沌こんとんとしたところから

 見失ったものを、もう一度呼び寄せて

 歩き出そう


 正解がないのなら

 せめて笑えるように

 
























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