第25話 小さな出発

 小さい頃の時の流れは遅くて遅くて

 退屈たいくつで、たまらなかった

 いつも待たされてばかりで

 好き勝手に歩くことも出来なくて

 暇をもてあそんでいた

 膨大ぼうだいな時間をどうやってつぶすかに

 頭を悩ませて

 遊ぶとは限られた場所で

 ある物で大人しく過ごすことだった


 子供の頃の本心なんて

 そんな単純なものじゃなくて

 満足なんて夢のまた夢で

 やったことに対しての

 根拠こんきょを語れるほどの責任はある

 小さなイタズラや失敗は

 実験という名の発見で

 それを言うか言わないかは

 大人の機嫌次第きげんしだい


 大きくなれば見た目も変わってくる

 好きなものは変わっていない

 中身なんてなおさら、あの頃のまま

 子供の頃したかったことは

 今となっては簡単にできる

 大きな口を叩いていた人が

 いかに小さくなっていくか

 時の流れは教えてくれる


 可愛い時代が終わって

 許されることが少なくなって

 怒られることが多くなると

 窮屈きゅうくつになって

 自分の頭を使うようになる

 良い子をインストールするのを忘れたようで

 オリジナルを作り始める

 

 なげきながら線を引き

 反対のふたで押さえて

 飛び出す気持ちを閉じ込めようとするけど

 好奇心が応援してくれて

 自立が成長させてくれる

 自由と責任を失敗のたびに学んで

 傷つくことが多い分

 人に優しくすることを覚える

 

 安心してな

  

 お望み通りではないけど

 眉をひそめないで

 大人になるのは一つではないってこと

 違うことは、そんな悪い事じゃないって証明するから

 体を大事に周囲と楽しくやってる

 それが一番だろ

 

 子供の頃の窮屈きゅうくつ

 大人になっての原動力だから

 卑屈ひくつになるのはやめて 

 あの頃、思っていたことは 

 正しい間違いとかじゃなくて

 大人への出発を決めた

 自分で鳴らした小さな発車音だから

 







 




















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