第26話 泥だらけ

 泥だらけの小さな手で夢中だった

 汚れを気にし始めたのは

 いつからだろうか

 思いっきり動けていたのは

 いつまでだったんだろう

 動く前に考えて、足がすくんで、元に戻って

 何度も行こうとしていた場所は

 何かが気になって足が遠のいた


 気持ちだけを残して進んでしまった

 あの頃はただ熱かった

 気持ちのまま動けた

 だから、ぐっすり寝れたんかな

 おやすみなさいって


 中途半端な気持ちに葛藤かっとうして

 日々を過ごしてあらがっていた

 頭で考えて控えめをつらぬいて

 本当の自分よりも

 生きやすさを取ってしまった


 どれも自分で通ってしまうから

 違うなら違うと

 立ち止まらなかったら

 そのまま流れてしまう

 逆流に立ち向かって

 汚れてしまうことも

 勇気がなくて出来なかった事を

 思い返しながら


 そのまま綺麗きれいに流されていく


 思いっきり泥だらけで

 雨にれて

 砂埃すなぼこりにまみれて

 どこかしらりむいて


 いつも夢中になって追いかけていた


 手に残らなくて

 買えるものでもなくて

 一つ一つ大切なものが

 なぜか忘れられなくて


 それは泥だらけになって手に入れて

 いつも思いっきり生きていた


 本当の僕だったから


























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