第30話 夢の中

 真夜中の

 寝苦しい時に

 夢の中に出てきた

 いたずらっ子

 可愛いパンチで

 強さを見せつけて来る

 どっかで見たことあるような


 つまらないから

 相手にして欲しいんだと

 生意気に、ごっこが始まる

 正義と悪、上と下

 決まって、いいところとっていく


 疲れて休憩きゅうけいして

 車の絵と、そのおもちゃを

 唯一、持ってる宝物だって見せてくれた

 この紙に描けば色々あるんだ

 キラキラした笑顔で言ってきた


 車のおもちゃを走らせて聞いて来た

 仕事って大変?

 欲しいものは持ってる?


 下手にうそをついても

 バレそうだから

 恥ずかしいけど素直に言った

 大変だし、欲しいものを持てるほど

 かせいでない


 大変だね、でもいいことあるよ


 僕は悪い子だってさ

 たった一つの宝物を

 遊びに来た子が欲しがって

 離さないから、あげなさいって


 大切なものをゆずることが

 優しくてえらい子なんだって


 これを手放したら、もう戻ってこないから


 それなら優しくて偉い子になりたくないって

 もう悪い子だって怒られて

 泣かれて嫌われちゃってさ


 僕は強くなったんだ


 宝物を守ったから


 お兄ちゃんも悪い子だった?


 ああ、悪い子だったよ

 お前と一緒で

 それでも楽しかったな


 僕も、これさえあれば

 ずっと一人で遊んでいられる


 いつかまた……笑い合った


 夢の中で見た車は

 忘れていた俺の夢だった

 ごめんな、頑張って守った車


 飾っていた車を手に取り

 もう逃げるのはやめよう

 こいつと一緒に走るんだ

 守った強さを思い出して







































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