第36話 空き地
外に出る方が好きで
気晴らしに風のように歩いて
身体が路地と一体化になるようで
薄暗さも居心地がいい
目に映るものが育ってきた証で
華やかさは無くても
誰も歩いていなくても
温かくて優しい
確かに、ここを歩いた
確かに、ここで過ごした
頭じゃなくて心に
歩いて行くと見慣れた場所は
いくつか空き地に変わってしまった
何の知らせもなく
昔、過ごした場所だから
それを目に浮かべて懐かしく想う
今は、色んな場所で楽しめるけど
あの頃は何もなかった自分を
温かく迎えてくれて
そこで過ごすことを
静かに見守ってくれた
離れても簡単には忘れられない
大切な場所だから
何もないところじゃなくて
そこは何もない自分に
何かを最初に教えてくれた
その何かは、ただ
何もなくても生きていくということ
気づかず、過ごしていくうちに
教えてくれていた
歩けば
その時の想いと共に
路地の先を進んでいく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます