第12話 景色

 くほど、眠くなるような言葉を

 かけられてきた

 ものが言えないほどあきれさせ

 ちゃんとしろが、挨拶で

 分からないまま、頭下げ

 誤解ごかいが決めつけに変わるたび


 ぐっすり眠って

 心の中を燃やした


 走りが悪いと笑われながら

 怒りを燃やして走ってきた

 惰性だせい葛藤かっとうを繰り返し

 冷や水を、ぶちまけられ

 オーバーヒートを起こしてたから

 ちょうど良かった

 後は走るだけだ


 目的地までは

 舗装ほそうされたかどうか

 辿たどり着けるかなんて

 行けるか、どうかなんて分からないけど

 走行距離そうこうきょりかてとなって

 夜明けを待っている


 行きたいところに行けるまで

 知らないところに独り遠くまで

 誰も追い付けないところまで

 あの時、笑っていた奴らの分まで

 この手に入れた景色を見晴らす


 何度も止まっては走ってきた

 嫌になって走ることも、やめたくなった

 目の前に現れたのは苦しみと怒りにえていた

 何も出来なかった、何者でもない、何もない

 走ってきた、これまでの自分だった


 無我夢中むがむちゅうで、移り行く景色に気づかず

 不安と焦燥感しょうそうかんられながら

 走っていた先には


 景色だと思っていたものが、背景となり

 走りゆく姿は、その場に残像ざんぞうを残していくかのように

 際立きわだっていた


















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