第19話 窓辺

 陽が落ちた夜をながめて

 一つ一つ明かりのぬくもりを

 目で追っていた


 毎日同じところを

 必死と一緒にめぐって

 疲れと一緒に帰路きろに向かう


 眠たくて帰りは、いつも窓辺を見つめている

 欲しいのは帰りを待っていてくれる明かり

 目にうつる窓辺の景色は

 時をかさねるごとに

 さわがしかった朝から、静かな夜に

 まっていった

 

 いつか、あの明かりを手にすることが出来るだろうか

 その為の日々は無駄じゃなかったと

 静かな夜をなつかしく思えるだろうか

 

 いつもどこかでぬくもりと明かりを探していた

 欲しいものは手に入れてきたつもりでも

 心はどこか落ちたままだった


 思いたくないことや嫌な事ばかりが

 頭をめぐ

 どこも間違えてはいないのに

 上手くいかないと責めて

 迷った幸せばかりを追いかけている

 

 願っていたことは空の彼方かなたへと飛んでいき

 現実に追いかけられて

 気づいたら一日が終わっていた


 窓辺は疲れた俺をうつしている

 俺は窓辺の遠くの明かりを求めている

 何も間違ってはいない

 必死に言い聞かせる俺に

 

 窓辺は俺と遠くの明かりを重ねてくれた

 俺の中の明かりに気づいて 

 輝いてくれるように

 願いを込めて










 







 

 











 

  










 


 

 


 















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