第36話 魏志倭人伝……かもしんない人たち
司馬昭君は、三軍に分けたみたいだ。
鳥桓族討伐隊と燕国討伐隊。そして、薊を護る守備隊だ。
時短を狙ったんかね? 輸送の関係からかもしんない。
鳥桓族討伐に集中しても良さそうだけど……。大軍を投入しなかったのか?
報告書の木簡と、にらめっこする。
伝令には、模擬的な地形を作成して貰い、進軍ルートを説明して貰う。
司馬懿の【
「陛下、お気になされますな。弟は、そこそこ優秀です」
司馬師君を見る。
そこそこの評価なんだ?
史実であれば、『晋国』の礎を作る人でもあるんだけどな~。
まあ、彼等の父親が偉大なんだろうな。
「兵士は、足りると思う?」
「……心配であれば、数万人程度を薊に移動させてください。文武官もつければ、問題ないでしょう。それで、失敗するのであれば、そこまでの人材だったということです。見捨ててください」
司馬師君……。弟には、辛らつだな。
でも、援軍を送れとも言っている。
とりあえず、元魏国の降将を集めて送ればいいか。
活躍を望んでいて、場がない文武官が大勢いる。
「そんじゃ、手続きをお願いね~」
「委細承知……。陛下、ありがとうございます」
なんだかんだで、兄弟仲はいいのかな。
◇
ある日、連絡が来た。
緊急性はないと判断されて、後回しにされていたらしい。それを、司馬師君が見つけたんだそうだ。
「うん? 他国の使者?」
「はっ! 燕国の東からだそうです。燕国にて止められていたそうです。もう、すっごい異文化の服装なんです。それと、苦難の道を乗り越えて来たみたいです。会ってやってくれませんか?」
……燕国の東っていったら、あの国しかないじゃん!
「うん、会う会う。連れて来て」
「陛下……。蛮族かもしれませんが? 時間の無駄と思われます」
他の文官が止めに入って来る。
「良いの良いの。会ってみたいのよ~」
「……陛下?」
数日後、その使節団が来た。
「****、*****。*****、********、********」
「うん、言葉が通じないんだね。通訳もいないのか~」
木簡を受け取るけど、字が汚くて読めないね。これ、漢字じゃないのかもしれない。
「陛下……。どうなされるのですか?」
「金の印綬を送ろっか~」
「「「えええ!? 最上級の待遇を行うのですか!?」」」
倭国の使者だ――と思う。丁重に扱わないとね~。
そういえば、聞いたことがあったな。
本来であれば、公孫淵に邪魔されて来れなかったんだよね。
そんで、司馬懿が討伐したら、魏国に来れたんだっけ?
「ちょっとさ、誰か倭国を見て来てくんない? 様子が知りたいのよ~」
「ちょっ、陛下? 秦の時代に『蓬莱』と呼ばれた土地ですよ? 始皇帝を騙した徐福が、行ったとか行かなかったとか、怪しい記述があるだけです。そのような土地に興味があるのですか? 陸続きではないのですよ? 海を越えるんですよ? 分かってんですか?」
興味があるんだよ。
この歴史は、変えたくない。
くじを引いて、アタリの人に見学に行って貰うことになった。
帰って来れたら、昇格を約束すると喜んでくれたよ。
「戦争してるかもしんないけど、できるだけ詳細に情報を伝えてね~」
「「「ははっ!」」」
彼等には、大金と船をつけた。徐州で準備して出発して貰おう。植物の種や、馬や羊なんかも贈る。
そんなこんなで、数日もてなしてから、出発して貰った。
「陛下……。何故あんな蛮族を優遇したのですか?」
蛮族ね~。
まだ、文化が花開いていないだけじゃない?
「一応さ、お隣さんだから。燕国が逃げるかもしれないじゃん? 先回りしておこうよ」
それっぽいことを言ってみる。
「……なるほど。陛下の慧眼極まれりですな」
納得してくれたよ。
それと、天竺方向だな~。インド方向は、文化的にどうなってんのかね?
発展しているかもしんない。もしかすると、西洋の文化を取り入れているかもしんないし。それと、定番の胡椒だよね。輸入できるなら、買いたいのもある。
誰か行かせないといけないね~。
◇
報告が来た。幽州からだ。
「司馬昭君は、一進一退の攻防を繰り返しているのね……」
「この体たらく……。
「まだ、数ヵ月だしさ。見守ろうよ」
司馬懿は、奇襲からの電撃作戦で公孫淵君を討ち取ったはずだ。戦争の短期決戦は、望ましいけど、今回は攻城戦も含まれる。制圧戦なんだ。
敵が出て来なかったみたいだね。
「陛下の寛大な処置。痛み入ります」
う~ん。薊に引き込んでから、包囲殲滅するように誘導したんだけど、燕国はどうしたんかね? 罠を張っていたんだけど、飛び込んで来なかったみたいだ。
それに、烏桓族もだ。各個撃破ってなに?
勝っているので、問題はないんだけど、予想より弱かったかもしんない。
司馬昭君は、力攻めを行っているし。高度な戦略はとっていないんだな~。
まあ、戦争は国力だ。
司馬昭君が、戦死しなければ、負けはない。
それに、ちょっと危険な匂いもした。
現場に行かないと、分からないこともあるよね。
「まあ、朕たちは、この間に内政に力を入れよっか~」
「「「はっ!」」」
蜀漢国は、安定して来たのね~。
一年後、幽州が平定された。
そして……、郭淮と曹芳が捕らえられたと、連絡が来た。
燕王は、討ち取られたらしい。
流石、司馬昭君だよ。
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