第22話 洛陽攻略

 蜀漢軍が、洛陽に攻めかかる。

 そうすると、魏軍は一戦しただけで、逃げて行った。


「追わなくていいよ~。それよりも、城の中を確認してね~」


 将兵は、不満みたいだけど従ってくれる。

 一日かけて、場内を調査した結果、宝物も食料もない事が分かった。

 住民も飢えているらしい。


「今入城するのは、危険だよね~」


「魏函谷関に向かわれますか?」


「うん、そうだね~。それと、長安から船で食料を運ぶように指示を出しておいてね~」


「委細承知。住民を救います」


 食料支援として、司馬昭君が長安に向かってくれた。

 飢えた住民の住む都なんて、危険地帯だ。それならば、食料を施して手懐けてから入城したい。

 無人の城も同じだな。落城させても維持は難しいと思う。

 結局は、人なんだよね~。





 魏函谷関も、将兵が少ない。

 前後より攻めると、逃げて行った。


「こうなると、陸抗君が苦戦していそうなのね~」


 南陽は、兵士で溢れていそうだな~。

 魏国は、北は匈奴と公孫淵君に攻められている。南は呉国だ。

 趙統君に中央の陽動も行って貰っている。

 中央に兵がいなくなったのを確認して、鄴と洛陽に攻め込んだので、蜀漢はほぼ無傷だった。

 戦わずに勝ったんだ。


 長安から食料が運ばれると、洛陽の住民に感謝された。

 住民が飢餓に陥るほど、徴発したんかね?

 太守は、誰だったのかな?


「そんじゃあ、洛陽に入ろっか~。もう安全っしょ」


「「「はっ!」」」





 中央の道を進み、本殿を目指す。

 道の左右から、住民が歓声を上げてくれる。


「これが、漢の本来の姿なのね~」


「やっと、あるじが戻って来たので、住民も歓喜に沸いておりますな」


 あるじか~。まだ、正当性はないんだけどね。

 玉璽だよね~。曹芳そうほうが持ってんかね?


 神殿は残されていたけど、玉座はなくなっていた。

 俺が何時も座っている椅子を設置して座る。


「ふう~。やっとここまで来れたのね~。司馬師君、司馬昭君、廖化君、羅憲らけん君。感謝しかないのよ~」


 今は、4人の将軍しかいない。俺の護衛だな。


「「「はっ! ありがたき幸せ」」」


「それと、各地を守っている将兵にも、感謝の言葉と恩賞を与えないとね~」


 魏国は、まだまだ強大だ。

 気を抜けば、洛陽なんてすぐに取り返されてしまう。

 それに、呉国も健在だ。


「陛下の徳と善政、神采配により中華の地の西半分を統治できました。ここまでの成果だけでも、歴史に名を刻む名君と、誰もが認めるでしょう」


 司馬師君はそう言って、俺の記録を作ると言って来た。劉禅伝?

 正史三国志外伝になりそうだな。陳寿ちんじゅ君は、今何歳だ?


「少し腰を落ち着けつつ、兵士を集めよっか~。魏国はまだ健在だもんね~」


「はっ!」


 今考えると、成都から大分遠くに来たもんだね~。

 一度凱旋するのもいいかもしんない。





 魏国は、南陽を放棄して、洛陽に攻めかかって来たよ。

 でもね~、遅過ぎだよ。住民を手懐ける時間があったのが大きい。

 しかも補給のない軍隊だ。それも、数十万人規模。


「何時もの防衛戦で行こうか~」


「「「はっ!」」」


 魏軍は、数日で干上がって、東に逃げて行った。

 情報戦で、兵糧がないと分かっていたから、防衛戦に徹した結果だ。魏国は、被害だけ拡大させた結果になってんな。


「殆ど、戦わないで勝っているね~」


 敵の弱い所を探して攻めているだけだしね。魏軍は、右往左往して撤退を繰り返している。だけど、バカだった頭は、入れ替わったんだ。曹芳は、もう指揮を執っていないし。今後も続くとは言い切れない。


「孫氏以上ですな。兵法書でも書かれてみては?」


 曹操の『孟徳新書もうとくしんしょ』のことを言っているのかな?

 劉禅の、あざなって、なんだっけ? 公嗣?

 『公嗣新書』?


 調子に乗り過ぎだよね~。謙虚に、謙虚に行きましょう。


「魏国と呉国はまだ健在だし、これからだよね~」


「その隙のなさ……、名君以外の言葉がありませぬ」


 とりあえず、諸葛丞相の北伐の目標は達成した。

 だけど、ここからが本番とも言える。


「魏国は、土地を奪い返しに来ると思うけど、防衛よろしくね~」


「「「はっ!」」」

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