第23話 魏国侵攻2

 数年が過ぎた。

 魏国は、揚州を呉国に攻められて、結構城を落とされていた。

 だけど、匈奴と公孫淵を討ち取ってもいる。中華の地の北側は、膠着状態になった。


 それと幽州は、『燕国』を名乗っている。公孫淵の血縁が、後を継いだらしい。

 一応、同盟を結んでおいた。

 呉国は渋い顔をしたけど、説得をして三国で同盟を結ぶことになる。

 魏国包囲網の完成だ。

 織田信長を追い詰めた戦法だな。


 曹芳そうほうは、ぎょうに戻らなかった。徐州にいるらしい。戦火を嫌ったそうだ。

 徐州と青州、豫洲、袁州、冀州を中心にして、政治を行っているみたいだ。

 空白地帯は、蜀漢が占領して行く。

 見捨てられた領民は、降伏してくれた。


「魏国は、兵士が足んないんかね? 領土の維持ができていない?」


「食料不足かと。飢饉も起きましたので。蝗害こうがいです」


 魏国にとっては、災難続きみたいだな。

 もうこの時点で、蜀漢国は魏国の国力を上回っている。

 魏国は、戦争続きでかなりひっ迫しているみたいだ。

 これは、どんな統治者でも改善はできないんだよね~。食料生産には、限りがある。


「後、怖いのは、地震かな~。シミュレーションゲームで言うとなんだけど……」


「……地震ですか? そこまで予測しているとは。名君を通り越して、予知能力者ですな」


 呉国は、陸抗君が豫洲を攻め続けている。揚州を完全に掌握する方が先だと思うんだけどな~。

 堅固な城を回避して、兵士の少ない城を攻めている。

 孫権がボケ始めたな……。

 なにもしてないけど、二虎強食の計になっている。まあ国力を消費して貰おう。


 今柴桑さいそうは、守備が薄い。これは今後も続くだろう。

 襄陽にいる杜預とよは、練兵に余念がない。

 でも、呉征伐はもう少し先だな~。戦端を広げたくない。魏国の息の根を止めてからだよな~。


 それと……、魏国を見限った人材が、蜀漢に押し寄せて来ている。

 有能な人材も多いので、登用後に各地に分散配置だ。


 そして、郭循が来たので……、処した。これで、費禕は殺されない。

 費禕には、遷都の準備を行って貰っている。


 新丞相には、司馬師君を任命した。

 もう、俺の右腕だよね。


「うん、安定して来ているよね~」





「北伐の再開?」


「はっ。魏国は弱っております。今ならば行けるでしょう」


 地図を広げる。

 要衝の地には、名将を置いている。

 守っていれば、落とされることもない。

 だけど、気がかりなのは、南陽の呉軍なんだよな~。洛陽に近い。


「呉国は、領土は広くとも人口が少ないです。兵士数も我らが蜀漢国に比べれば、半分以下です」


 確かにそうなんだけど……。

 まだ動かしたくないな~。


「并州にいる、趙統君に冀州を攻めて貰おっか。関統かんとう関彝かんい趙広ちょうこうを援軍に送ってね~。それと、燕国にも連絡しておいてね~」


「はっ!」


 魏国は、もうちょっと弱るのを待とう。そうすれば、降伏してくるかもしんない。

 一応、匈奴も警戒しておく。華北の地をとられると、戦況が覆りかねない。


 趙統君には、鄴を攻めて貰う。

 中原の中心に位置する都だ。

 以前に鄴は、俺が落としたけど、洛陽を優先したので占拠はしなかった。そうしたら、魏国が戻って来て占拠した。まあ、破壊したので復興に国力を割いて貰おう。

 鄴は、一度落としてるんだし、大丈夫でしょう。


「魏国は、そろそろ本気で防衛して来るでしょう。落城には、年単位かかると思ってください」


 鄴を落とされると、魏国は大きく侵攻されることになる。本当に、黄河に沿って、南北分断になりかねない。

 そうなれば、後は遷都を繰り返して延命してく国家になるのかな~。


「長期戦も覚悟しないとなんだね~」





 魏国は、三十万人を動員して来た。

 本気だな~。


 趙統君には、少し離れた場所に布陣して貰い、防衛に徹して貰っている。

 地形を利用した堅固な陣なので、簡単には落とせないみたいだ。


「そんじゃ、豫洲に進攻してみよっか~」


「「「はっ!」」」


 趙統君は、黄河の北に布陣して貰っている。

 俺たちは、黄河の南を進む。


 洛陽は、廖化君と費禕君に任せる。

 南陽が気がかりだったけど、実際は兵士数がそれほどいる訳ではなかった。

 それと、災害と疫病が発生したらしい。


「袁術が支配していた時も、苦しんでたよね~」


 孫策の到着が遅れて、兵糧が曹操に届かなかった話は有名だよね。


「目的地は、どちらまでになりますか?」


「あまり深入りしたくないから、陳留かな~」

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