第39話 今後の方針

 さーて、最後の呉国討伐だ。これで天下統一だ。

 俺は、歴史を思い返していた。


「確か……司馬炎は、時間かけたんだよな。孫権の死亡は――252年。呉国の滅亡が――279年。三国志関連だけだけど、脳とインターネットが繋がっているみたいに数字が出て来るのは、ありがたいな」


 パソコンとかないけど、wikiを見ているように、脳裏にデータが浮かんで来る。

 転生特典としては、ショボいと思ったけど、なかなかに使える。


「何故か、27年間待ったんだよね~。理由は、なんだっけ?」


 俺が転生して15年くらい経過したかな? 今は――249~250年くらいか?

 もうすぐ、孫権が死亡しそうだ。

 それと、呉国は滅茶苦茶になっている。孫権がボケて粛清を繰り返しているはずだ。

 攻め込むなら、今かもしんない。


 それと交州だな。

 晋国に降ったり、呉国に攻められたりと、戦続きだったのもある。

 蜀からならば、陸続きで向かえるんだよね。


「だけど交州は……、今はいいかもしんないな。呉国は、孫峻の専横の真っただ中だ。その後の孫綝も同じだ」


 費禕君は、話さなかったけど、呉国は俺の遠征中に諸葛恪が攻め込んで来て、大惨敗してんだよね。

 まあ、兵力的に小事とも言えるけど。

 250年頃って、魏国、呉国、蜀漢国共に騒乱時期だったんだよね~。

 歴史上の最悪君主の一人、孫晧皇帝を待つまでもないか。


「一国でもまともだったら、統一も早まっただろうに」


 三国志の君主が、揃ってダメ人間だから統一されなかったってなんだろう……。曹操、孫策、劉備の時代だったら、何処の国も一年で征伐されそうだな。だけど、この時間軸での劉禅は違うんだ。

 善政を敷いているし、文武官の覚えもいい。

 気をつけるのは、暗殺くらいかな?


「呉国の討伐に欠かせない人物の最後の一人……。王濬おうしゅんは、どこにいんのかね?」


 まあ、その内出て来るだろう。司隸出身だし。長安か洛陽にいるはずだ。

 羊祜、杜預、王濬が揃えば、呉国滅亡も決まったようなもんだな。


「それと、一斉に各都市を攻撃したんだよな~。水軍は、長江を下らせているし」


 戦術は、そのまま任せればいいと思う。いかに陸抗と言えど、五ヵ所の都市を同時攻撃されたら、防げないよね。


「三国志演義の諸葛丞相は、五方向から攻められても対応したけど、あんなのは、国土が小さかったからだ。それに人材もいたしね」


 今の呉国なら、対応できないだろう。多分……。


「杜預君は、柴桑を落とすんだよね……」


 【破竹の勢い】が有名だ。

 西から攻めている。蜀で船を作って、水軍を有利に展開して、陸上戦部隊を派遣して、各都市を落とした。

 障害となるのは、やっぱ陸抗かな~。

 記憶を辿る。


「陸抗は――274年に没しているのか~。陸抗の死亡が、直接呉国の滅亡に繋がっているとも思える」


 結構長生きしてんのね。

 言い方を変えると、陸抗さえ倒してしまえば、呉国は終わりなんだよな~。





 司馬兄弟は、結局倒れるまで議論を続けて、周りに迷惑をかけたらしい。

 二人を離すように、奏上されたので、許可する。


「司馬師君は、荊州の襄陽ね。司馬昭君は、揚州の寿春。太守と交代してね~」


「「……はっ」」


 二人共、実質的に降格だ。それくらい、洛陽の文武官に不評を買った。

 新しい相国に、費禕君を起用する。一次的かもしんないけど、長年付き添ってくれた人だ。何処かのタイミングで、相国にする必要があったので、丁度良かったのもある。

 費禕君は、泣いているよ。報われて良かったね。


 司馬兄弟が、旅立って行った。

 ちょっとは、反省してね?

 そうしたら、呼び戻すから。


 それと、司馬炎しばえん君と司馬攸しばゆう君だ。鳥桓族討伐と燕国平定の功績で、俺の書記官に任命した。内政を担当して貰う。

 見張っていたいのもある。歴史の強制力があるのであれば、この二人が事を起こすはずだ。もしくは、その子供だね。だけど、『七王の乱』もある。司馬氏の晋国立ち上げるを阻止するとなると、司馬氏を滅殺しないといけないかもしんない……。

 できなくはないけど、避けたいよね。


「陛下! それでは、対呉国の軍議を始めましょう!」


 文武官さんが、期待の眼差しを向けて来るよ。


「羊祜君と杜預君から、なんか連絡来ている? 襄陽で練兵を頼んでいたけど」


「陸抗と文通しているそうです。ですが、裏切ることはないでしょう」


 【羊陸之交ようぼくのこう】だね~。敵同士だけど、その人徳で互いに信義を持って相対したんだ。

 歴史的にも、裏切りはないかな~。俺も信頼してるしね。


「陛下! 今蜀漢国には、100万の軍がいます。物量で押し潰しましょう!」


「曹操がそれをやったら、赤壁の戦いで負けたのよね~。南方の水を舐めない方がいいよね。病気で全滅もありえるんだよ?」


 ――シーン


 ここで、100万人の死者を出したら、全部がひっくり返る。

 物量攻撃は、ないな。


「それでは、お考えがあると?」


「ちょっと、襄陽に行って来るね。留守をお願い」


「「「えええ!? 皇帝自ら行かれるのですか!?」」」


 俺もたまには移動したいのよ。気分転換だよね。

 張遵ちょうじゅん諸葛瞻しょかつせん司馬炎しばえん司馬攸しばゆうをお供に選ぶ。

 護衛として、関統かんとう関彝かんい趙広ちょうこうだ。


 さて……。羊祜君と杜預君は、なに考えているかね~。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る