第31話 幽州1
のんびりとした時間が流れて行く。
元魏国の城は、反乱を繰り返していたけど、武器も尽きたようだ。
最近は、反乱も起きなくなった。
再起を図りたい人物は、辺境の土地に逃げて行ったと思う。
「陛下、食料の備蓄も増え始めました」
兵士は、屯田兵にして各地で農業を行って貰っている。
戦争が起きなければ、農民になるので、もの凄い収穫量になるんだな~。
益州とは比べ物にならないよ。流石、華北と中原の地だ。
「
「もったいないお言葉」
「そんで、
「はっ。各地の関所を強化していますが、痕跡も見つからないとのことです……」
う~ん。他国に逃れたんかね?
燕国か呉国か……。匈奴の土地かもしんないし。
楊儀が徐州を落としてくれたけど、包囲しきれなかった俺のミスでもある。北の青州を先に攻めていれば、あるいは捕えられたかもしれない。
正直、駒が足んなかったんだよね~。
でも今更だな~。曹家に忠誠を誓う家を探すか、
ある日、使者が来た。
燕国の配下だそうだ。
「冀州と青州を寄越せと? 燕国は、負けていたよね? 幽州だけで良くない?」
「戦果が少な過ぎて、反乱が起きそうなんです……」
使者も困っているんだな~。
でも、土地の割譲は出来ないな~。後が怖い。
俺は、恩賞の分配が原因で、その後荒れる歴史を知っている。
項羽とか太平記だよね~。
「
使者も引き下がらない。結構必死だな。
最終的に、食糧援助で話がついた。
こうして、使者を見送った。
「出兵しますか? 幽州の征伐くらいなら兵がおります」
「……今は止めておこう。匈奴と組んで来たら大義名分もできるし。
曹芳の捜索を優先するべきだと思う。それと、食料の増産だよね。疲弊した民たちも多いんだ。無駄な出兵はするべきじゃない。
「ならば、食糧援助を行うべきではなかったと、思うのですが?」
「燕王次第かな~。民を救うのであれば、これからも援助を続けるけど、攻めてくるのであれば、滅ぼすよ」
「陛下……。飴と鞭の使い分け、流石です」
納得してくれたようだ。
◇
幽州に食料を送る。
ついでに密偵を放って、状況の確認だ。
「ふむふむ。食料は、民衆に行き届いているのね~」
「はっ。青州の黄巾族が発生したくらいに、荒れていましたので……。蝗のように援助物資に群がっているので、王も将軍も止められないみたいっす」
燕王も、後がなかったのね。
復興しなかったら、民衆が彼を殺すんだろうな~。
「それと、匈奴です。幽州を襲っています。虐殺と略奪を繰り返しています」
司馬昭君が并州いるので、矛先を変えて来たか……。
太原もとったし、雁門も安定している。万里の長城も、司馬昭君が修復中だ。
残っているのが、幽州だけだから、被害が集中してるのね~。
ここで、歴史を思い出した。
『日本って……、今は邪馬台国の時代だよな』
公孫淵君が、滅んだことで魏と倭国が繋がったんだ。司馬懿が、日本と中国を繋いだとか聞いたことがある。
そうだ、魏志倭人伝は、今頃作られてたはずだ。
「どうすっかな~。歴史が変わっちゃうじゃん。つうか、蜀漢志倭人伝で通じっかな~」
「倭……? 何処ですか?」
今更だけど、歴史を大きく変え過ぎだ。
だけど、変えちゃいけないこともあるよね。邪馬台国の歴史は、残したいと思う。
「……陛下?」
「やっぱさ、燕国を滅ぼそう。朕自らの出陣ね」
「「「えええ!? さっき、食糧を送ったばかりなのに?」」」
総勢二十万人の軍が起きた。
大将軍として、羊祜を抜擢だ!
対呉国の包囲は崩せないので、守将たちには残って貰った。
後は、魏国から下った雑将軍を多数採用した。
彼等は、この戦で戦果を挙げないと、将来がないよね。
次は、対呉国だけど、何時戦争が始まるかは、誰も分からない。
「そんじゃ行って来るね~。内政よろしく」
「「「はっ!」」」
司馬師、張遵、諸葛瞻に洛陽を任せる。
「さて……、久々の戦場だな~」
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