第30話 魏国滅亡

 結局、曹家は逃げて、捕まえられなかった。

 だけど、冀州・豫洲・徐州・兗州は、落とせた。残っていた青州は、降伏して来た。

 これで、魏国は終わりだな~。


「地図で見ると、西暦264年そのまんまだな~。でも、幽州と遼東地方は燕国か~」


 まだ、西暦で言うと250年くらいだ。結構、頑張ったかな? 史実よりだいぶ早い。

 滅んだのは、蜀漢じゃなくて魏国だけどね~。

 それでも、ちょっと感慨深いかな~。


 洛陽には、降伏する者たちが押し寄せて来た。


「司馬師君たちは、暗殺に気を付けてね~。今倒れられると、呉国攻略が難しくなるので~。朕の右腕と左腕の自覚を持ってね~」


「「「はっ。ありがたき幸せ!」」」


「それと、魏国の中枢を担っていた人物は、探してね~。登用できたらするんで」


「「「えええ!? 処さないのですか!?」」」


 史記を読んでないんかね?

 高祖劉邦は、季布きふを郎中(警護役)に取り立てたら、忠誠を誓ってくれたんだよ。

 まあ、鍾離眜しょうりばつは、韓信かんしんが仲介してくれなくて自決してるけどね。


「この時代の、夏侯嬰かこうえいって誰かね?」


 俺がそう言うと、降将が増えた。

 真面目に働いてくれるなら、復興を手伝って貰おう。

 でも、郭淮は来なかったな~。曹芳そうほうと行動を共にしてるみたいだ。

 でもでも、諸葛誕が来たので、魏国の中枢は崩れたと思おう。



「曹家って、何処か彷徨ってんのかね? 放浪中?」


「そうかもしれません。ですが、もう山賊と変わりませんので……。旗上げは、無理でしょうし」


 まあ、気長に待とう。誰かが、密告してくれるかもしんないし。

 もうこの時代に、空白地帯なんてないんだしね~。蜀漢国の将兵が全て押さえてんのよ。

 もしくは、呉国か燕国に逃げてんのかね……。




 さて残るは、呉国だ。

 燕国は、正直どうでもいい。邪魔だったら攻め滅ぼそう。

 せっかくなので、重臣を集める。


「費禕、魏延、張翼、王平、姜維、楊儀、廖化、趙統、諸葛瞻、李豊、羅憲、司馬師、司馬昭、杜預、羊祜……。こんなとこかな?」


 各地の州牧だったり、重要拠点を任せているけど、一同を洛陽に呼んだ。

 全員が、一礼してくれる。


「皆、ありがとうなのね~。曹家は逃げたけど、魏国は滅ぼせたのよ~」


「「「いえ……、全て陛下の徳と善政によるものです。戦争の指揮も、神采配としか言いようがありません!」」」


 えへへ。褒めてもなにも出ないよ?


「それで、何時呉国に攻め込むとですか?」


 羅憲らけん君は、気が早いのね~。


「多分なんだけど、各地で反乱が起きると思うんだよね~。元魏国兵も、いざ戦争に投入したら、離反とかありそうだし~。まず、足元を固めようよ」


「「「……」」」


 皆、納得してくれたようだ。


「そんじゃ、暫く戦争はなしね。反乱起こした奴は、処していいので内政に力を注いでね~。民心の安定を第一にね~」


「「「はっ!」」」


 その後、改めて劉家の宝物を贈る。

 俺の功臣だと、世間に知らしめるためだ。


 それと羊祜君は……、この後頑張って貰う予定なので、同列に扱った。





 予想通り、各地で反乱が起きた。予定通りでもある。

 呉国も扇動しているみたいだ。見え見えなんだよ。

 各地に兵を残してあるので、すぐに鎮静化する。俺の配置に隙はないのだ。


 それと、寿春だな~。姜維を置いているけど、歴史的に後2回は、反乱があるんだよね……。それと、やっぱり姜維は、雍州に置きたい。戦争がない場所になるけど、彼以上の適任者もいないのが本音だ。


「反乱は、起きるんかどうか分かんないけど、毌丘倹・文欽が見つからない以上、警戒するに越したことはないよね~」


 なんとなく、反乱が起きそうな気がしたので、関統かんとう関彝かんい趙広ちょうこうを援軍に送った。

 それと……。


張遵ちょうじゅん君。これから内政を学んでね」


 張飛ちょうひの孫を、秘書として洛陽に呼んだ。こいつは、祖父が張飛ちょうひなのに何故か文官なのだ。歴史上の疑問点でもある。


「OKっす。費禕殿の元で学んだ知識を生かすっす」


 それと、諸葛瞻しょかつせんもだ。

 この二人は、将来の丞相候補だよね。


「う~ん。小物だけど人材が揃って来たかな? 次の世代も育って来たし、慢性的な人材不足は解消されたよね」


 蜀漢国の最大の頭痛の種だったけど、仕官を希望する人が殺到して来た。

 降将も多い。俺は、優秀な人材も覚えている。

 まあ、暗殺されたくないので、俺の近くには配置しないけどね。歴史的に重要な人物以外は、有能そうでも下級役人から始めて貰う。


 地図を見る。


「残るは、呉国だな~」


 ……ボケて来ている孫権を煽ってみるか?

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