第29話 魏国侵攻3

 鄴に、蜀漢軍が襲いかかった。

 趙統君と司馬師君が、攻城兵器で襲いかかる。


 廖化君は、徐州からの援軍を防ぐために、黄河に陣を張っている。

 船まで用意しているよ。流石歴戦の猛者の一人だ。最古参だよね。


「皆、優秀なのね~」


 ここで、連絡が来た。


「司馬昭君が、冀州きしゅうに攻め込んだの?」


「はっ! 冀州の渤海郡を目指して、快進撃だとか……。連戦連勝で一直線に冀州を横断している模様です!」


 話を聞くと、匈奴と争っていたけど、追い払ったのだとか。

 皆、優秀過ぎる人材なのよね~。

 でも渤海郡までとれれば、魏国は逃げ場がない。北の逃げ道を塞げる。それは、そのまま包囲することを意味している。

 狙ってやってんだろうな。


「なんか……、全員が連動しているのね~。指示することがないよ……」





 一年後、鄴が陥落した。

 冀州は、司馬昭君が平定している。燕国も匈奴も大人しいらしい。まるで、春秋戦国時代の李牧だ。


 楊儀君は……、小沛と下邳を落とした。兵糧攻めだったらしい。

 粘り勝ちだね。兵権を与えてみれば、そこそこ動けることが分かった。流石、諸葛丞相の下で学んだだけある。


 司馬昭君と楊儀君だけじゃない。各人を褒めないとね。

 とりあえず、徐州へ向かった。


「楊儀君、荊州牧だったけど、徐州牧に変更ね~」


「ありがたき幸せ」


 守りの将としては、そこそこ優秀だったのかもしれないな~。

 ちょっと、呉国との最前線になるけど任せてみよう。


「廖化君。冀州を治めてくんない? 征東将軍にも任命するので」


「お任せを。ありがたき幸せ」


「司馬昭君は、悪いけど并州をお願いね~。征北将軍に任命するので。匈奴と燕国に注意してね~」


「OKっす。任せてください」


「司馬師君は、丞相から相国ね~」


「嬉しいっす」


「羅憲君は、鎮南将軍ね。寿春をお願い」


「嬉しか~」


「若い趙統将軍たちは、兗州の太守ね。城をとったら太守をお願い」


「「「もうすぐ、魏国を滅ぼせそうですな!」」」


 うん、大丈夫そうだ。

 論功行賞……、心配だったけど、全員納得してくれたらしい。





「対呉国は、どの様な戦術をお考えですか?」


 羊祜ようこ君からだった。

 歴史知っている俺だし、考えることもないんだけどな~。


「西から攻めるよ? 柴桑落ちたら長江を渡って建業ね」


 史実で、羊祜君が提案して杜預君が実施したのは、蜀からの大船団と北からの歩兵だ。それをベースにして作戦を説明した。


「……流石です。他方向から攻めた魏国は、全て撃退されているので、私も同意見です」


 それと、黄河より北の兵士を使わないことだよね。疫病での撤退は避けたい。

 襄陽や南陽、寿春あたりで徴兵した兵士を使いたい。

 それと、やっぱり短期決戦だ。南方に進軍する場合は、長期戦を避ける。これ大事ね。





「う~ん。襄陽に杜預を置いているけど、羊祜も送っておくか?」


 でもな~、寿春だったり、合肥から攻めても欲しい。

 合肥は、今は呉国の城だ。それと、南陽もだな~。


「呉国は……、同盟は生きているし……、暫く様子見かな~」


「それがよろしいかと。曹芳そうほうを捉えてから、呉国攻めでしょうな」


曹芳そうほう曹髦そうぼう曹奐そうかんを捕えないとね~。曹家の息の根を止めないといけないよね~」


「そうぼう? そうかん? 誰ですか? 曹芳の子供ですか? 良く知っていますね?」


 そうか~、この後に帝位につく人材って、俺しか知らないんだよね。

 先回りして、処してしまおう。


 それと、司馬炎君だな~。

 少し会ったけど、反乱を起こす人物には見えなかった。

 司馬師君と司馬昭君も信頼しているし。

 大丈夫……かな?





 楊儀が、徐州の城を落として行く。

 結構城の数が多いんだけど、上手く立ち回っているらしい。

 でも、曹家の行方は分からないんだとか。

 まあ、気長に待とう。


「玉璽は、どうすっかな~」


 もうこうなると、あってもなくてもいい。

 正統性とか、父劉備の時点で怪しいし。


「シミュレーションゲームなら、俺の魅力は……70くらいはあんだろうし。……多分」


 ゲームの話をしていても仕方ないか。


「魅力なんて、数値化できるモンじゃないしな。今の劉禅の魅力ってどのくらいかな~」


 俺の独り言を聞いた司馬師君が、絶句しているよ。

 もしかして、理解してんのかね?

 それはそれで、怖いな。

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