第20話 魏国と匈奴
「平地だと、匈奴軍は強いのね~」
密偵からの報告が来た。
出陣した魏軍は、敗走していた。だけど、攻城戦になると話は別だ。
匈奴軍は、包囲するだけで周囲の村を襲うに留まっているみたいだ。
「攻城兵器がないんかな?
「お止めください。数年後に、こちらに矛先が向かうとも限りません。知識を与えるべきではないかと」
もっともだ。
匈奴からは、援軍の要請も来るけど、静観とした。
「二虎強食の計っすな。匈奴の撤退後に、魏国に攻め込みましょう」
司馬昭君を見る。
「匈奴が、城を落としちゃったら?」
「それこそ、望むべき未来かと」
そうだな~。并州の一郡でも落としちゃったら、魏国も南に配置している将兵を北上せざるを得ないだろうし~。
もうちょっと待つか……。
◇
「ええっ? 公孫淵君と匈奴軍が同盟?」
「はっ。雁門に向かっているそうです」
地図を広げる。
『匈奴としては、春秋戦国時代の李牧にボコられた地だよな。公孫淵君は……、中山をとれば、雁門まで距離が近い』
うん。戦略として成っているね。
城を落とせればだけど。
「魏軍の動きは? 黙って見てはいないんでしょ?」
「袁州の兵を導入して、防衛に当たるみたいです。
あ~。司馬師君を殺そうとする人達だね~。野望か忠義かは、分かんないけど。
まあ、妥当かな~。でも、中央に兵がいなくなる。今内乱起きると、魏国は危ないな~。
でも、内乱を起こす人材が、国を運営してんだし……。
でもでも、この時期の
「曹家に忠誠を誓う人材がいれば、内乱が起きても鎮圧できるんかな?」
「それなのですが、
魏国は、もう終わりかもしんない。
◇
「え~。雁門が落ちたの~?」
「はっ。幽州の攻城兵器を手に入れた公孫淵が、雁門に合流して、落城させたそうです」
公孫淵君は……、アホなんかな。
技術者が匈奴に協力なんてしたら、中華の地なんて駆逐されてしまうぞ……。
攻城兵器を持った匈奴軍……。考えたくもないよ。
「それと、中山と晋陽も侵攻しているとのこと」
これで、東西の補給線が繋がったね。
并州と冀州は、かなり危ない。魏国は、北の領土をとられちゃうぞ?
「そんで、魏の
「20万人の軍勢で、常山を拠点にして防衛しているみたいです。雁門を捨てて、逆襲を狙っているものと思われます」
常山は、中山と晋陽の間の城だ。
今の魏国は、隙だらけだね。内乱はないけど、外敵に対応できないのか。
「そんじゃ、北伐を再開しよっか。今なら行けるっしょ」
「「「はっ!」」」
◇
まず、公孫淵君に手紙を書く。
『ちょっと華北と中原を攻めるので、足止めをお願い。劉禅より』
数日後、返事が来た。
『OKよ~。つうか兵糧を融通してよ。公孫淵より』
よし! これで同盟が成った。
俺はまず、
少しずつ、兵士を送って行く。
「趙統君。ご苦労だったのね」
「ありがたきお言葉」
ここからは、華北と中原だ。旧趙国の地。并州、冀州、兗州が近い。
「趙統君。何処でもいいから城を落として行って。それと、
「了解っす。でも守る兵士もいないだろうし、苦戦はないと思うっす」
「油断大敵だよ?」
「心得ているっす。これでも、趙雲の子ですたい」
うん。大丈夫そうだ。
その後、太原経由で、長安に戻る。
「北伐の再開ね。黄河の北側を進もうか。攻撃目標は、魏曹家の首都である
「「「OKっす。待っていたっす!」」」
特に
若いのに大抜擢したから、活躍の場を望んでいるのかもしんない。
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