第27話 魏国攻略1

 密偵を放つ。


「燕国と、寿春が同盟? 最前線を放棄して、南北より徐州を攻撃?」


 楚王の曹彪そうひょうは、痺れを切らしたんだな。

 それもそうだよね、独立を宣言しても、数年間放置だもんね。

 魏国も相手してやれよと言いたい。


 戦況を聞くけど、芳しくないらしい。

 魏国は、徐州にも多少は兵を残していて、防衛はできるらしい。


 数ヵ月後、連絡が来る。

 燕国軍と寿春軍は、小沛と下邳を落とせなかったみたいだ。辿り着けたのかも怪しい。


「そんじゃあ、寿春に進軍しよっか」


「「「はっ!」」」


 楚王の曹彪そうひょうは、燕国と同盟を組んだのかもしれないけど、蜀漢とは組んでいない。

 そのプライドの高さが、命取りだよね。





 寿春は、城を閉ざして防衛の構えだ。


「そんじゃ、姜維君お願いね~」


「お任せを!」


 城攻めが始まる……。

 そして――あっさりと落城した。


 王淩おうりょう令狐愚れいこぐ、楚王の曹彪そうひょうは、呉国に逃げたらしい。

 まあ今回は、追わない。

 火種になって貰おう。


「姜維君、ありがとね。君は優秀だね~」


「ありがたきお言葉」


 姜維君には、寿春太守と揚州の州牧に任命する。

 それと、兵を休めて貰う。隴西地方から連れて来た彼の部下も一時帰国を許した。

 少し休んで貰おう。



「陳留は、どうなってるの?」


「羅憲より、変化がないと連絡を受けております」


 地図を広げる。


「鄴と陳留は、放置にして、徐州攻めよっか……」


 司馬師君が、考える。


「総大将を誰に据えるかですね……」


 ああ、そうだった。

 古参の人は、州牧に任命したりしていたので、駒が足らない。降将は、有名な人でもまだ使えない。

 そうなると、小物しかいない。

 どうすっかな~。



 とりあえず、羊祜ようこが仕官して来た。杜預とよの前任に当たる、対呉国防衛の要。

 俺の秘書になって貰う。

 そんな時だった。


「楊儀君が来たの? 襄陽はどうしたの? なにかあったの?」


 とりあえず、会ってみるか。


「楊儀――参上いたしました」


「ご苦労様。そんでどうしたの?」


「徐州攻めに加えて頂きたく……。襄陽は、暇です」


「魏国が終わったら、呉国攻めの総大将だよ? 練兵を頼んでたよね?」


「もう、まっちょられんたいまってられません!!」


 う~ん。荊州って重要な地なのにな。州牧に任命しても、不満なのか~。

 でも兵権を任せるには、不安な人材なんだよな~。


「よろしいのでは? 十万の軍勢でもって徐州を攻めて貰いましょう」


 司馬師君は、何か考えがあるんかね?


「もしくは、丞相の地位を望みます……」


 強欲だな~。

 本来であれば、その性格で処されるのにな~。

 でも、ここで背かれても困る。

 出陣を許可した。



 楊儀は、陳留を横目に真っすぐに徐州に攻めかかった。

 補給路を断たれそうなんだけど? 大丈夫?

 司馬師君は、黄河を使って補給路を確保してくれる。


 楊儀が、小沛と下邳に襲いかかる。

 密偵の話では、順調なんだとか。諸葛丞相が作った、攻城兵器を大量投入しているらしい。


「大丈夫なんかね?」


「兵法書通りに攻めるのでしょうな。時間はかかりますが、城は落としてくれると思います」


 司馬師君は、楊儀を凡将と捉えているんだな~。

 そんで今回は、奇策は必要ないと言っている。


「先手の大将もいないのよね~。今からでも羅憲君を派遣する?」


「楊儀は、襄陽で多数登用しておりました。将兵は足りております」


 司馬師君は、楊儀の動向も注視していたのね……。

 心配していると、魏国が動いた。


「青州兵が、徐州に移動したの?」


 楊儀が、挟み撃ちにあってしまうな。

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