第15話 北伐開始
転生してから10年が経過した。実に平穏な時間だったな。
近年は、三国共に内政に力を注いでいたので、大きな国境線変更はない。
魏国は、内乱が続いているみたいだ。【遼隧の戦い】も続いている。後何年長引くのかな~。武将は残っているけど、都督に抜擢されるほどの人物はいないのかもしれない。国の中枢が麻痺ってると、こんなもんかもしんないな。
それと、曹叡が亡くなり、
ちなみに、
この時点で、曹家って危ういんだな。
長安・潼関に、張翼と王平、それと司馬昭を置く。
上庸には、廖化だ。それと、古参の将軍を纏めて貰う。
天水には、姜維を置いて、隴西地方の説得を頼んである。異民族の説得と吸収だな。この時代の異民族は、脅威なんだよね~。涼州の交渉も頼んである。
漢中は、魏延だ。父劉備が見出しただけあって、優秀に働いてくれている。
それと、襄陽なんだけど……、楊儀は撤退した。まあ、無理があるよね。懲罰は科さないけど、綿竹関で大人しくして貰おう。それと、杜預を目付け役にした。
「正直、小物ばかりだな~。陸遜が欲しいよ」
俺には、司馬師という軍師もいるけど、三国志を彩った英雄が配下にいない。
時代なのかもしれないけど、寂しいな~。
こう、在野の大物を登用して、兵権を預けたりしたかったな~。ないものねだりなのは分かってんだけど。
期待するのは、関羽と張飛の孫かな~。もうちょっと成長を待とう。
内政も上手く行っている。現在の丞相は費禕だ。民心も安定しており、疫病も飢饉も発生していない。
そんな時だった。
「うん? 魏軍が攻めて来たの? 天水取られたの? 姜維君敗走?」
詳細を聞く。
あ~、夏侯覇か。鄧艾と鍾会かと思って驚いてしまった。彼等は、15年後くらいかな? 今の内に暗殺してもいいかもしれない。
でも、長安と潼関を落とさずに、天水ね~。兵法がなっていない。いや、手柄を焦っているな。
張翼君に命じて、糧道を断つと、彼等は孤立した。
涼州の異民族とも友好な関係にある蜀漢なのだ。彼等は、干上がって、冬前に降伏して来た。冬に、マイナス数十度になる土地なんだ。死にたくなければ、投降だよね~。
包囲戦術最高! 10万人の兵士を吸収できたよ。
夏侯覇に話を聞くと、魏は混乱状態なんだとか。曹爽が、滅茶苦茶やっているらしい。皇帝が変わっても国の中身は同じなんだな~。郭淮が、中央で権力を握ったんだけど、司馬懿の代わりは無理っぽい。
それと、雍州と涼州は諦めムードなんだとか。
夏侯覇は、異を唱えて出兵許可を得たのだとか。意気込みは買うけど、見捨てられたとも取れる。
とりあえず彼は、捕虜にする。その内懐柔して、北伐に協力して貰おう。
暫くすると、曹爽一族に対するクーデターが勃発! 司馬懿がいなくても曹爽君は、魏国に裏切られるのね。どんだけ恨まれてるのよ。
首謀者は誰かな~? まあ、誰でもいいんだけど。
数年前の仮の【
そうなると、呉は【二宮の変】の真っただ中かな? 陸遜君は……、投獄中――かな?
陸遜の子供の、陸抗を引き抜きたいけど、来ないだろうな~。陸抗が、呉国の最後の名将になんだけど、今のうちにどうにかしたいのもある。
まあ、どうにもなんないけどね。暗殺も不可能だろうな~。
魏国も呉国も動けない時期だよな~。
蜀漢国だけ、雍州と涼州の平定が終わっている。隴西地方の説得も一応完了。ちょっと反乱があるけど、問題ない。
粛清すれば、すぐだけど、俺は気長に交渉する君主なのだ。
人も物資も、これ以上は望めない状況だな~。
「そんじゃ、北伐を再開しよっか~。今なら行けるっしょ」
「「「はっ!」」」
今俺は、長安に向かっている最中だ。
「これで、先帝の意志を継げそうなのよ~。皆に感謝!」
ここから先は、漢の高祖と秦の始皇帝以外は、到達できなかった領域だ。諸葛丞相でさえも未知の領域。
俺の転生知識も役に立たない可能性がある。
それと、魏国にも呉国にもまだ人材がいる。油断は禁物だよね~。
それでも、俺の気分は晴れやかだった。
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