第45話

「彼女はガードが固いだろう。追い出されてしまう」


「ならどうやって」


「彼女の意思を迷わせろ」


「つまり…」


「選択肢を与える。だが、彼女には選べないことを提示する。そうすると、意識があちこちにいくだろう。そうすると、雪見の入る隙間もできるはずだ」


「うわー、台本とかないっすか。まじ難しくてしどろもどろになっちゃったんですよね…」


「簡単だ。学校を辞めろと話せ」


「え?そんだけ?」


「彼女は親に迷惑をかけたくなくて、進学してる。世間体を非常に気にしているからね」


「まじすか」


「おそらくその場で決められない。だから、翌日改めて行くんだ」


「わかりました。そのとき、俺が…」


「鈴野が邪魔する可能性もある。結界が必要だろう」


「住職もついてきてくれるんですか?」


「いや?雪見がやるんだ。食後に教えよう」


「え…いや、俺漢字とか書けない!まじ無理です」


「ただ貼るだけの作業だ」


…なーんだ。前もやった気がしてきた。


「だが、彼女を手刀では眠らせられない」


「え!…あ、そうか」


「私が教えてやろう」


えー、お経覚えないといけないってこと?うわーまじかよー


俺は一人で、仕事をさせられた。だけど、その方がよかったのかもしれない。楓さんは、慎重な人で、心の隙を誰にでもは見せないから。

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