第42話

「てめぇ、返す気あるのか?」


「もちろんあります!」


「どーせ無駄遣いするんだろ」


困ったなぁ…。


「あれー?雪見くーん!」


らいさん!」


姉の旦那の雷さんは、俺に優しいのだ。


「お休みじゃなかったのー?」


「明日、です」


「そっかー。で、なにしてんの?」


「あー雷には関係ない」

「金貸してもらいたくて」


「お金?いいよ?」


「バカ!こいつに貸すな!」


「ありがとうございます!」


「いーよー!お財布見せてあげるね」


「おい、こいつ借金してんだぞ?雷、甘やかすな」


「だって可哀想。おいでー」


雷さんは女神様だ。

ロッカーにあるお財布を見せてもらい、いるだけあげると言われた。結構入ってる。


「ちゃんと返します…」


3万くらいにしとくか。


「いいんだよ?あげる。でもね、雪乃ゆきのちゃんには言わないでね。怒るから」


「はい」


雪乃は姉だ。いちいちうざい。


「雪見くん、お仕事頑張ってね!」


「…はい」


泣きそう。こんなに、俺のこと思ってくれて。楓さんだって、思われてるのに。

辛いことが重なりすぎてしまって、自分にどんどん蓋をしてしまってる。エネルギーを吸うときしか見えないのも、隠してしまっているからかもしれない。


「雷さん、ちょっといいですか?」


「え!なにー!?抱きつくの?」


「すみません、元気が欲しくて」


「元気ないの?大丈夫?」


「はい、もう大丈夫です」

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