第43話

翌日。

住職といろんなタクシーに乗り、逢坂さんについて調べた。タクシー使ってるだろうからってさ。

住職は、触ると物に残ってる記憶が読み取れる能力がある。それを使い、逢坂さんの行動範囲を把握した。家までは、特定するのが難しい。

…が、こんなところによく来ているとは。なんか、教室?


「こんにちは…あのー、着物を着ている方っていらっしゃいますか?お話がありまして」


「ああ、それなら…」


と紹介された。それは間違いなく、夢で見た人だ。だから、こちらから切り出した。


「すみません。お願いがあって」


「…はい?」


「見たところ、武道が得意に見受けられます。ですよね、住職」


「はい。よろしければ、腕の筋肉を触らせて頂きたい」


「…あの?どちら様で…」


「寺のものなんです。今巡回してて、あなたがここに入るのが見えたんですよ。その筋肉素晴らしいので、ぜひ…」


説明するの難しいな…。不審者に見えるだろな。


「あ、はぁ、そうですか…どうぞ」


住職は、着物の上から確認中。


「これはすごいですね」


「ありがとうございます」


「柔道はされていますか?」


「はい」


「では、私の知り合いの柔道場を、一度見学されませんか?」


「え!いいんですか?」


何の話やら。


「地図を書きますね。見学は、本日がいいのですが。16時頃です」


「はい、構いません」


住職は、なにかを考えたようだ。

さっぱりわからないが、現場に行ってくれるのだろうか…?

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