第32話

「住職、夢を見ました」


「それで」


勝手に部屋に入って、座る。


「いや〜見覚えない人で。誰かわからないんです。しかも遠くて声も聞こえない」


「なにか覚えていることは?」


「あー、たぶん高校生かもしれないです。髪の毛ピンクの女の子、2つに髪結んだ女の子…あと、ちりちりした髪の毛で目が緑の男の子…」


「それは、鈴野すずのだろう」


「知り合いですか?」


「雪見もよく知っている。レーナを覚えているかな?」


「…あー、キャバ嬢の。弟とか?」


「そうだ」


「いや似てないっすね」


「そうだな。父親似だ」


「へー」


「おそらく、髪を2つに結んだ女の子というのは、鈴野の彼女だろう」


「へー」


「その子は、超能力者だ」


「…え、それって、なんか…力あるってことですよね」


「あぁそうだ。一度、悠星ゆうせいが依頼を受けて実際に会っている」


「まじすか」


「彼女にもやがあると鈴野が依頼に来た。だが、悠星には原因が特定できなかった。それは、あまりにぼんやりしていたそうだ」


「で、放置っすか」


「鈴野はある程度は見えるらしい。だから、はっきりと見えたなら私が払える。そのときになればね」


「そ、それって、なんか…この夢は助けを呼んでる気がするんですけど」


「おそらく、鈴野だろう」

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