第33話

「鈴野さん…が、俺を呼んでる…」


「彼は、第六感があるようだね」


「それは、どういう能力なんです?」


「自分や、大切な人に危険が迫ると、本能的に反応する。危険の察知能力が高い」


「へーまじすか」


「彼自身で雪見に見せたのかはわからない。だが、無意識下で呼んでいるかもしれない」


「へぇ〜」


「それで、内容は?」


「それが…鈴野さんの彼女が誰かに腹を刺されます。ですが、一命を取り留める。けど、彼女は不服そうなんです」


「そうか」


「それに、瞬きしてないのに、ナイフが一瞬で刺さってて」


「…それは彼女の能力だ。ナイフを自ら引き寄せたんだろう」


「…え、なぜ…」


「死にたいのだろう」


…そんな、夢だったのか。


「雪見に助けてもらいたいということだ。鈴野が直感的に、お前ならできると感じているのかもしれないな」


「…いや、でも、本人たちに、この話は…」


「そうだな。同じ場所で起こることは確実だろうから、そこで雪見が止めると現実にはならない。だが、彼女の気持ちはそのままだろう」


「それなら、俺は嫌な夢を見続けるってこと…ですよね」


「そうなるだろう」

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