第51話

「すみません。私は心の中へまで入ることはできない。だから、無理やり負を剥がすことはできても根本解決にはならない。だから雪見に、鈴野は助けを求めたのでしょう」


「…伊織くんの能力、知ってるんですか?」


「ええ。知り合いの寺の息子ですから」


「そう、ですか」


「楓さんは、力を誰かのために使いたいんですよね?」


「え、はい…」


もう話したんだろうか?


「では、雪見と一緒に仕事をしてもらえますか?」


「え?」


「雪見はまだ未熟なんです。まだ、簡単に仕事もこなせな…」


「そ、そんなのできません!だって、心の中に入ったりとか、できないです」


「依頼は様々です。取り憑かれた、呪われた、そんな話はたくさんありますが、だいたいなにもないです」


「え、え?」


「雪見は信じやすい性格なので、仕事が難航します。勉強も苦手で漢字も苦手なんです」


え?なんの関係が?


「楓さんは勉強が得意ですよね?」


「…はい」


「それに、コツコツ努力することも」


「そうです…苦じゃない」


「では、雪見はバカなので、付き添って仕事をして頂きたいです」


バカ?

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