第24話

「そういや楓さん。俺が養子とか、ありえないですよねー?そもそも、おかしいやつをもらう住職もどうかして…」


「やめて…聞きたくない」


「俺は、親に捨てら…」


「やめて!もう嫌!」


「なん…」


「私の中に入ってこないで!」


ぱっと目が覚めた。だけど、まだぼんやりとした空間。天野さんもまだいる。


「なら、楓さんの口から聞きたい。あなたは嘘つきだ。なにを隠してる?」


「隠してるんじゃない…、言いたくないだけ!」


「言って。頭の中にたくさんあった、楓さんのこと」


たくさん、あった…?


…言いたいこと?


ポロポロと涙が出てきた。


「天野さんは、どうして、私の中になんて…」


「あなたを救いたいから」


「…私、は…」


「ちゃんと聞いてます。何でも、俺は聞き入れますよ。嫌われるなんて、考えなくていい。自分に嘘をつきすぎると疲れます」


「…本当は、私、お父さんの子供じゃない」


伊織くんにも、りこにも…誰にも言えなかったこと。なのに、天野さんに話してる。


「お父さんの店のお客さんが、お母さんだっただけ。可哀想だから面倒見てた。だから、私、お父さんに、迷惑かけてばっかり…怖い力があるから」


「楓さん、力は本当に怖い?」


「…嘘です。なくなるのが、怖い。これが、私なんだって思えるから」


「そうですね」


「養子って聞いて、私も同じだと思ったのに、伊織くんに嫌われたくなくて、言えなかった。誰にも、言えなかった…私は、いるだけで人を不幸にする…」


なにをやっても、嫌なことばかりで、もう、疲れた。


「もう消えてしまいたい」


「俺もそうでしたよ」

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