知ってしまった

第46話

「天野さん、私、いつから負のエネルギーというのを集めてたんでしょうか」


楓さんは警戒心が強いから、なかなか自分のことを話すのは難しい。だけど、けっこう話してるうちにだんだん、リラックスしてきたかな。


「…予想では子供の頃の嫌な出来事がきっかけです」


「そう、ですか…」


芝生に座りつつ話しているが、楓さんはうかない顔をした。なんだ、そんな顔するのか。


「なんで笑うんですか?」


「感情を表に出せてます。少しずつ慣らしていくといいですよ」


「…私、顔に出てないんですか?」


「あまり」


「それじゃ、伊織くんと、同じってこと…?」


「いや。鈴野さんは、感情ダダ漏れですよー」


「無表情ですけど」


「まーそうですけど、見ればわかります」


「天野さんって変ですね」


「えー悪口かよ」


「違います。夢なんて、普通に見るのに。なんで私たちの出る夢なんか見たんですか?」


「それは、鈴野さんが俺に助けを求めたからではないかと」


「…伊織くんが?そんなことできるんですか?」


「おそらく。俺はそのとき会ったことなかったんですけどね。頼れる人を探していたみたいですから。無意識に俺に夢を見させた」


「そんなことできるんですか?」


「知ってます?第六感ですって」


「…聞いたことはありますけど、伊織くんが?」


「はい。本来自分が危険な時に働く能力らしいのですが…」

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