第49話

それから、頻繁に天野さんに話に出かけた。

伊織くんは、少し嫌そうにしていたけど、話したいことがあるからというと納得する。


「天野さん、公園にいつもいるのはなんでですか?」


「筋トレ」


「してないですよね。私と話す時間長いですよね」


「これは、仕事なんです。最後まで、付き合います」


じっと目を見られた。


「仕事?」


「楓さんが、負のエネルギーを回収しないか見てます」


「…え」


「学校辞めて、一カ月経過しました。今のところ大丈夫そうですが、楓さん、隠すのがうまいからなぁ」


「…天野さんは、どうして、そこまで私のこと…」


「楓さんを助けたいから」


「他人なのに?」


「そうですけど、ほっとけない性格で」


「…ありがとうございます」


「いや、別に話聞いてるだけなんで」


「私、最近、家の中でも能力を使うんです。伊織くんの前でも物を取ったり…。でも、もっと誰かのために使いたい気持ちもあります。なにか、私にできることってないですか?」


「え…」


「そんなに驚くことですか?」


「住職がですね、今日、楓さんを寺に連れて来いって言ってて」


「え?今日?」


「いや、どうやって誘えばいいんすか!って聞いたら誘うくらいできるだろうと言われて。タイミングわかんねーってなってたんですよ」


「そ、そうなんですか」


「だから、楓さんができること、住職は知ってるんですよ、たぶん」


「そうなんですか?」


よくわからない。

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