第19話

「逢坂さん、同棲してるって」


「そうなんだ。ところであの人は何者?着物だったし、すごい力だったし…」


「そこまでは聞けなくて…」


もやもや。どうやって、天野さんは彼氏さんを公園まで向かわせたんだろう。わからない。警察の取り調べは、現場にいた私達だけでなんとかなった。先生は、りこから私と逢坂さんが放課後会うということを聞いたとか。聞かれてしまったのは私のせいだけど、やっぱり、りこが私を呪っている?


「伊織くん、天野さんと連絡とれる?」


「いや、連絡先わかんない…」


「聞いてないの?」


「そういえば、そうなんだよ…」


だめじゃん。


すると、ドアを叩く音がした。これはもしや…


慌ててドアを開けるとそこには、今話していた人物、天野さんがいた。


「こんばんは」


この人、私たちが話してること聞いてた?盗聴でもされてる?


「あ、遅くにすみません」


「いえ…」


「他にも仕事ありまして、…ついでに寄りました」


「中へどうぞ」


伊織くんは不審そうに見ているけど、ソファーを勧めた。私はお茶を淹れる。その間二人とも黙ってる。私が伊織くんの横に座るのを待っているようだ。


「それで、昨日どうでした?」


「…はぁ!?なんですかそれ。あなた無責任すぎますよ!俺怪我したんですよ?」


「…すみません。それは、どうしようもなくて」


伊織くんは、たいした怪我ではない。殴られて転んだくらい。


「でも…逢坂さんの彼氏が本当に来ました」


「よかったです」


「よかったじゃないです!そもそもあなたが夢なんて見るから!」


「伊織くん。やめて」


「え」


「天野さんは、自分の能力を操れてないのでは?」


「…すみません、完全ではなくて…」


「知らせてくれてありがとうございます」


「…楓さんは、能力をお持ちと聞きました」

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