見知らぬお坊さん

第6話

「こんにちは」


玄関を開けると、サムエって言うのかな?着物みたいなのを着た、知らない長髪の男の人がいた。今は冬なのに、薄い生地だ。


「あの、ご用件は?」


「…そ、その、鈴野すずのさんいますか?」


伊織くん?


どうしてここに住んでるって知ってる?


「あのー、寺のもので、天野あまのと言います」


え…それって前に病院で会ったお坊さんと同じお寺の人?


「あなた…は、かえでさん?」


「はい…」


すごい、見られてる。


「すぐに鈴野さんと会いたいんです」


「なぜですか」


「お話があります」


「…わかりました。電話で呼びます」


仕方なく、お父さんに連絡して、伊織くんをバイトから解放してもらう。


「すぐ来てくれるので、中でお待ち下さい」


「ありがとうございます」


こんな、長髪の人がお坊さん…?不審者じゃないよね?


そわそわしつつ、お茶を入れてたら帰ってきた。


「…天野さん…ですか?」


「あ、はい!はじめまして。天野雪見あまのゆきみです。お姉さんにはお世話になりまして〜」


「姉?…え、俺の姉?」


「それで、早速なんですが…あの…」


伊織くんに姉がいるの?知らなかったけど、スルーされてる。


「あなたが出てくる夢を見ました」


「夢ですか?」


「たぶん、楓さんもいたかも…」


夢になぜ知らない人が?


「あと、ピンクの髪の人もいて…」


それ、逢坂さんだ!友達になった逢坂あいさかさんは、りこ同じ隣のクラス。だけど、仕事が忙しいらしくて、学校には授業に少し出て帰ってしまう。


「夢は、たいてい、現実になります」

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