第21話

伊織くんは怒り出してしまった。落ち着かせるために隣に寄り添った。


「伊織くん落ち着いて…」


「全く関わらないほうがいい」


天野さんはまっすぐ私を見ている。


「適当なこと言うなよ!なにも、お前にはわからないくせに」


「伊織くん、落ち着いて。少し考えてみます」


「はい」


「そもそも、あなたみたいな長髪の人が、坊主の養子?ありえないだろ。どう考えても」


「…ですよね」


「どうして、…養子に?」


「住職に、助けてもらってます。俺は夢をコントロールできなくて、暴れてたので…」


「あの寺は、息子がいますよね?なのになんであなたがここに来るんですか」


「あ。その方は、継がないんです。海外にいるので」


「海外?ありえないことばかり言って!」


「伊織くん、とりあえず今日は…帰ってもらおうか…」


「長居してすみません。無事でよかったです。触られたりはなかったですか?」


「あるわけないだろ!!何言ってるんだ!」


「いや、鈴野さんの怪我と、彼氏が助けたことしか聞いてないっす…」


「何だその態度!」


「伊織くん落ち着いて」


「逢坂さんは、大丈夫ですか?」


「はい」


本当に心配してるのかよくわからない人だ。

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