普通じゃない私だけど

えいみ

伊織

第1話

深夜、伊織いおりくんの部屋にいる。


「カエさん…寒くない?」


「大丈夫…」


伊織くんの口元は、私の耳のすぐそば。間接照明だけの部屋。


「…ん」


変な声出したくないんだけど…

伊織くんが耳触るから。シーツを握って声を抑える。


「…カエさん」


…ぼそぼそ言わないで。


「かわいい…」


恥ずかしいよぉ。


「カエさん、なんか…言って」


「い、伊織く…んっ…」


「声、我慢しないで?」


「や、声っ…うるさいんだも…」


キスされた。苦しい、伊織くん…なんで、なんでそんな余裕なの!


「カエさん、かわいい」


うう、恥ずかしすぎてどうしよぉ。



…は!ここは、伊織くんのベット。

うっかり寝てしまっていた。伊織くんも寝てる。…う、私、裸!

着替え、どこ?暗くてよく見えな…


「カエさん?」


腕を引っ張られて、伊織くんのもとに戻された。


「寒いよ?」


「服、着たい」


「あ、そうだった。電気つける」


あ、そうだよ。普通に電気つけたらいいのに、ぼんやりしちゃってた。ぶら下がってたヒモを伊織くんが引っ張ると明るくなった。


「カエさん、かわいい」


え?


なん、で抱きつかれたんだろ?なぜ後ろから。


ん?


「綺麗」


え、え、それは私の胸ですが、伊織くんの手が触っ


「や、だめ、見たら…」


「なんで?まだ恥ずかしい?」


「…だめなの」


「でもカエさん。暗いとよく見えない。もっと見たい」


「だめ…伊織く」


顔近づけるとか…


「かわいいね、カエさん」


恥ずかしいけど、力は使おうと思わないし、無意識でも使ってない。

嫌じゃないっこと?わかんない…


「み、見過ぎだってば!」


「カエさん、ちゃんと見せてよ」


「もー!だめ!着替える!」

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