概要
心の奥底に、一点だけともった炎がある。
高校三年の坂井妙(さかい・みょう)は、音楽科を有する全国強豪高校のオーケストラ部の一軍に属するコントラバス担当だが、当人は普通科に所属しているというレアケースのため、部内で反感を買っていた。
ある日、部活中にOBが訪ねてくる。一人は将来を嘱望されているチェリストの宮川澄(みやがわ・とおる)。そしてもう一人がコントラバスOBのヨシヒトだった。第一印象から妙のヨシヒトに対する心象は悪く、しかも彼は無断で妙の私物のバスを弾く始末。一方、澄と会話をしていて、妙はある既視感を抱き、彼に尋ねてみた。
「今日の音希(おとき)のライブに顔出します?」
澄は、妙の友人の兄だったのだ。
音希のライブに足を運び、公演後、彼女と合流した妙と澄。すると、突然音希にやけにガタイの大きい男が泣きながら抱き着いた。あっけ
ある日、部活中にOBが訪ねてくる。一人は将来を嘱望されているチェリストの宮川澄(みやがわ・とおる)。そしてもう一人がコントラバスOBのヨシヒトだった。第一印象から妙のヨシヒトに対する心象は悪く、しかも彼は無断で妙の私物のバスを弾く始末。一方、澄と会話をしていて、妙はある既視感を抱き、彼に尋ねてみた。
「今日の音希(おとき)のライブに顔出します?」
澄は、妙の友人の兄だったのだ。
音希のライブに足を運び、公演後、彼女と合流した妙と澄。すると、突然音希にやけにガタイの大きい男が泣きながら抱き着いた。あっけ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あなたは奏でられていますか、自分だけの音を。
この作品をどう紹介するかは正直迷った。
自分が本作の本質をきちんと読み込めているか自信がなかったのが大きい。
けれど、間違いなく人の心を揺さぶり、問いかける強い力を持った作品だという感想を持ったことは記しておきたかったので、駄文ながらこうしてレビューを書かせてもらうことをお許しいただきたい。
本作は主に「妙」というコントラバス弾きの少女の視点で物語が進んでいく。
読み始めた時、彼女の主人公でありながら第三者から自分を見ているような、距離の遠い視点に少し違和感があった。
その謎は徐々に解き明かされていく。
どれだけ拒絶しても絡め取ってくる強い引力のようなものに引かれて、彼女は自身の抱えるもの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!青春とは、かくも苦く瑞々しい
音楽が流れている。ゆったりとした音は、時折激しくなる。
人とはひとりではなく、世界には多くの人がいる。そんな中で人間というものは複雑に絡み、同調したり反発したりしながら生きていく。
そう、さながら多くの楽器を使ってひとつの音楽を作り上げるかのように。
これは、紛れもなく青春の物語だ。
青春とは恋愛だけではない、甘いだけでもない。ほろ苦いと称されるのはきっと、おとなになりきらない彼らが、けれど自分の行動に責任を負うおとなに近付く第一歩なのかもしれない。
謎めく中で、巻き込まれて選ぶ中で、最後彼女らはどのような青春の1ページを胸に刻むのか。
ぜひご一読ください。