第2章

第18話 異世界転生撲滅のための話し合いをしようの会を開催するものの魔王と女神の話し合いがスムーズに進むとは思えない……

 寿司屋での一件で新たに女神を異世界転生撲滅活動の仲間にした俺と魔王は、一度状況を整理することにした。

 そこで翌日、いったん俺の部屋へと全員で集まることになったんだが……。


真人まさとさんでしたっけ? あなたのお住まいはいささか狭すぎませんか?」


 俺の部屋に入るなり、女神が不満気に文句を垂れる。

 一応八畳はある俺の部屋だが、ベッドや勉強机、本棚といった家具も置いてあるため、さすがに4人も集まると少し手狭に感じてしまう。


「女神よ。おまえの配下の体積が大きすぎるんじゃ。文句を言うならば、配下などつれずに一人で来ればよかったであろう」

「嫌ですよ。魔王の元に護衛もつけずに来るなんて断固拒否です。それに大きくないといざという時に私の盾として、心もとないでしょう」

「え……女神様。俺っていざという時の肉壁として連れてこられたんすか?」


 げんの問いに対して、女神はにこりと笑みを浮かべるのみだった。こいつもなかなか苦労しているな……。

 今度、源とは二人で互いの苦労をねぎらう会を開催しようと心に決めた。お互いの上司の愚痴だけで、きっと一晩は語り明かせるだろう。


 ……それはそれとして、ひとまず全員集まったことだし、話を進めるか。

 

「魔王様、そろそろ本題に入りましょう。たしか女神にやってもらうことがあるんですよね?」


 俺が魔王に発言を促すと、魔王は頷き、女神へと向き直った。今日の本題は、まじめに異世界転生撲滅のための話し合いをすることだ。 


「女神よ、おまえは制限結界を張る権能を持っておると言ったな? この世界におまえの力で制限結界を張るには具体的にどうすればよい?」

「そうですね……。管理者でない私の力で制限結界を張るというのでしたら、この世界自体の力を借りないといけません。そのためには、この世界の力を取り込むことのできる魔道具が必要になります」


 そういえば昨日女神は、制限結界を張るのは一人の力では難しく、準備が必要と言っていたが、要は自分だけでは不足する魔力を補うための道具が必要ということだったらしい。


「儂が真人に渡した指輪は、儂の魔力を溜めることが出来る魔道具だったが、あのようなモノがあればよいということか?」

「まあ、それと似たようなモノがあればなんとかなるでしょう。もっとも、この世界が持つ膨大な力を閉じ込めるわけですから、生半可なモノでは駄目ですよ?」

「そうか、わかった。では、魔道具作製を得手とする部下に作らせるゆえ、後ほど魔王城に来てその者に詳細を説明せよ」

「わかりました。……って、魔王城!?」

「そうじゃが。何か不都合でもあるか?」

「い、いえ……別に……」


 女神が急に汗をだらだらと流し始めたんだが、いったいどうしたんだろうか。


「ちなみに、その方をここに呼ぶというのでは、駄目でしょうか……?」

「おまえがここは狭いといったんじゃろうが。それにどのみちエルダーアースには用があるから、儂らがあっちに行く方が効率が良い」

「そ、そうですか。そうですよね……」


 女神の顔色が明らかに悪い。何か、魔王城には行きたくない理由があるようだ。ふと傍らに視線を流すと、源も何やら気まずそうに頬を搔いている。

 魔王も女神陣営の二人の様子が変なことには気づいているようだが、いずれにしろ魔王城に行ってみればわかることなので、今ここで追及するつもりはないらしい。


「とりあえず、制限結界が無事完成すれば、マサトの世界を滅ぼさなくてもなんとかなりそうじゃな」

「それはよかったです。……ちなみに制限結界が張れなかったら?」

「……マサトには悪いが、一通りこの世界を調べた後、滅ぼすしかあるまい」


 やっぱりそうなりますか。制限結界を張るのが成功すればいいが、女神が主体となって取り組むというから、一抹の不安がある。万が一失敗したときに備えて、魔王に地球を滅ぼされないための保険を、何か別に考えておいた方がよさそうだ。


 ……何か、いいアイデアありませんかね?


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第18話を読んでいただきありがとうございます♪


第2章に入りました!

ここから先は、ようやく異世界に行ったりするお話になってきます。


次話は明日投稿します。

続きのお話も読んでいただけると嬉しいです♪

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