幕間1
第15話 女神様視点の燃えた後のお話 前編
第1話で、女神様が魔王に燃やされた直後の時系列になります。
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【女神様の住まう天界】
「ぎゃあああああああああづいいいいいいじぬううううううううう」
卑劣な魔王による不意打ちで獄炎魔法を喰らった私は、今まさに死にそうになっていた。しかし、全身を焼き尽くされるような苦痛を感じ続けながらも、何故か一向に意識を手放せない。
「ぐうううううううだずげでえええええええええ」
あまりにも苦しすぎて発狂しそうだった。
呼吸も満足にできず、喉も焼けつき、全身を地獄のような業火にあぶられ続ける苦痛にとうとう耐えきれず、私は恥を忍んで上位の女神であるお姉さまに助けを求める。
私のSOSを感じ取ってくれたお姉さまはすぐさま飛んできて、私を魔王の極悪な魔法から助け出してくれた。
「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……。助けてくれて、ありがとう、ございます……」
膝がまだガクガクしていたが、何とか呼吸を整えて顔を上げる。目の前には、
「あんたいったい何やってるわけ? ずいぶん激しく燃えてたけど、焼き芋焼いてて引火でもした?」
「お、お姉さま……私はそんなに
「じゃあ、なんであんたは燃えてたわけ?」
「それは……」
私はいきなりエルダーアースの魔王に奇襲を受け、襲われそうになっていた転生者を庇って魔王の魔法を受けてしまったと説明した。(さすがに成す術もなく魔王に一方的に魔法で燃やされたとは、恥ずかしくて言いたくないですから……)
「……あんた、下界の魔王なんかに遅れを取ったの? 女神でありながら?」
「そ、それは……転生者を庇って仕方なく……」
「転生者を庇ったって、下界の魔王なんかには普通負けないでしょ。あんた、ちょっとたるんでるんじゃないの?」
「そ、そんなことは……」
「いいからちょっとそこに座りなさい。あんたにはもう一度、女神とは何たるかを叩き込んであげるから!」
「えぇ……」
そこから私はお姉さまのクソつまらない女神とはかくあるべきという説教を30分に
……自分だけすっきりした顔されると、いくらお姉さまとはいえ、ちょっとイラっとしますね。
「あんたも女神なんだからしっかりと威厳を持ちなさい。間違っても下界の魔王なんかに舐められては駄目」
「……はい」
「じゃあ、あたしは行くから。次は助けないからね」
そう言って自分の世界に帰っていくお姉さまを見送った。
その姿が見えなくなったところで、私は大きなため息をつく。
「はぁ……。色々と散々な目に遭いましたわ……。いつにも増してお姉さまは説教臭いし話は長いし……。それにしても、エルダーアースの魔王は本当にむかつきますね。私の管理している世界を全て支配下に置くだけでは飽き足らず、私にまで直接手を出してくるなんて……何か仕返しが出来ないものでしょうか」
私は先ほど魔王がやってきた時のことを思い出しながら、その時の会話の中に何かヒントがないか考えてみる。
「たしか、私が異世界転生者をエルダーアースに送り込んでいることを怒っていましたね。つまり、また異世界転生者をエルダーアースに送り込めば、嫌がらせになるのでは……?」
そう思って辺りを見回すが、そういえば先ほどの冴えない少年が見当たらない。もしかしたら、魔王に消されてしまったのかも。
「まあ、異世界転生者憎しといった感じでしたし、私の後にきっと骨も残さず燃やされてしまったのでしょう。仕方ありません。また、別の魂をピックアップしますか」
私はここ最近よく転生者候補を
「む、ここは……?」
攫ってきた魂の肉体を復活させてあげると、目の前には筋骨隆々のゴリラのような人間が現れた。もしかして、誤って野生のゴリラの魂をピックアップしてしまったのかと一瞬不安になったが、一応言語を介する知性はあるみたいなので、人間と思ってよさそうだった。
私は居住まいを正し、見る者に神々しさを感じさせるよう、神聖魔法で身体をわずかに発光させながら、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ここは女神の住まいである天界です。あなたは残念ながら現世で死んでしまったのですが、哀れに思った私は、あなたの魂を天界へと召し上げたのです」
「え……? 俺、死んだのか……」
「そうです」
「えーと、女神、様? 俺、どうして死んでしまったのか、記憶がないんですが……?」
「死ぬ直前の記憶がないということは、きっと脳に大きなダメージを受けて死んでしまったのでしょう。まあ、あなたは若そうですし、病死ではなさそうですね。となると事故死でしょうか」
私は、目の前で呆然と立ち尽くしているゴリラのような少年(?)の死に際を確認するため、神聖魔法を
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第15話を読んでいただきありがとうございます♪
幕間的なおまけ話の一つ目は女神の燃えた後のお話でした。
予想外に長くなってしまったので、前後編に分けてます。
ぜひ、次のお話も読んでいただけると嬉しいです。
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