いいかげん異世界転生するの、やめてもらってもいいですか? ……とばっちりで異世界転生に失敗した俺は、魔王の部下に成り下がり異世界転生を撲滅します。(仮)
第37話 高級レストランに行って食事をしてみたものの、貧乏舌&語彙力なさ過ぎて「すごくおいしい」しか感想が出てきませんでした。
第37話 高級レストランに行って食事をしてみたものの、貧乏舌&語彙力なさ過ぎて「すごくおいしい」しか感想が出てきませんでした。
※長くなり過ぎたので、後編は①と②に分割しました。
【ルーナ&源サイドのお話(後編①)】※源之助視点です。
王都エレクトランにはエクレール王室御用達の超高級なレストラン――クレール――があるとのこと。ルーナがせっかくのデートなので、そこへ行きたいと言い、代替案があるわけでもない俺は特に反対することもなく、二つ返事で頷いた。
「では、レストランに行く前にやるべきことがいくつかありますね」
「……?」
ルーナに手を引かれると、人目を
「ここなら人の目もないでしょう」
「まあ、狭い路地だからな。誰も好き好んでは通らないだろう。……それで、こんなところにつれてきて何をするつもりなんだ?」
「今から行くのは、大金持ちの商人や貴族、果ては王族までが来る可能性がある超高級レストランです」
「そう言ってたな。王室御用達なんだろ」
「そうなれば当然、店内での魔法やスキル等の使用に対しても厳しい対策が取られてます」
「まあ、危険を排除するためには、そうなるよな」
「なので、源之助さんも身体強化のスキルを使うのはやめてください」
ルーナの言葉に俺は驚き、目を見開く。
「……バレてたのか」
「当然です。程度の強弱はあれ、源之助さんは、いつも脳に身体強化のスキルを使ってますよね?」
「……素の俺は馬鹿だからな」
「スキルの使用がバレて高級レストランで揉めるより、馬鹿と食事する方がマシなので、スキルは今から使用禁止です」
「ルーナにそう命令されては仕方ないか」
俺はしぶしぶ、身体強化のスキルを全てオフにした。
とたんに張りつめていた脳みそが、ふやけたような感覚がした。
「さて、二つ目ですが、今から行くのは王都一と名高い高級レストランです。そんなところに突然、ゴリラが乱入したら騒ぎになりますよね」
「なに! さすが異世界のレストランだな! ゴリラが乱入してくることがあるなんて、驚いたぜ……!」
「……あなたのことですよ?」
「え……?」
確かに、よくゴリラといわれるけど、それは冗談半分のネタだと思っていたんだけど……え、俺っていつも、マジでゴリラと間違われてんの……?
「というのは冗談で、そのお店には当然ながらドレスコードがあります」
「そうだよな! ゴリラと間違われるなんてありえないよな!」
「私が冗談と言ったのは、ゴリラが乱入してくると言ったことについてですよ?」
「え……?」
「はい……?」
……。
「で、ドレスコードってなに?」
「……そんなことも知らないから、ゴリラと間違われるんですよ」
「それは関係なくねーか!?」
ルーナは呆れたように溜息を一つ吐くと説明をしてくれた。
「……ドレスコードって言うのは、簡単に言うと高級レストランに入るときには、そのお店の格に合わないダサい格好で来るなってことです」
「ちなみに今の俺の恰好はどうよ? その格? 的なやつは?」
「ぱっつぱつで筋肉が浮かび上がってる白ティーに、はち切れんばかりのジーパンとか、控えめに言って終わってますよ。キモいので間違いなく入店を拒否されるでしょう」
「えぇ……それはショックだぜ……でも服はこれしか持ってないぞ……」
「とりあえず、今着ているものは脱いでください」
「ん……? ああ、そういうことか!」
「おや、偏差値がゴミになっているわりに、察しはいいんですね」
「下手に服を着るよりも、俺の飾らない筋肉を見せつけていくスタイルの方が店の格に合うってことか!」
「……何言ってるんですか。やっぱり馬鹿でしたか。違いますよ。私がちょうどいい服を魔法で生成するので、今着てるダサいのを脱ぐよう言ってるんです!」
お腹が空いているのか、ルーナが少し苛立ってやがるぜ……。
だが、これ以上ルーナを怒らせるのも嫌なので、俺は着ているものを全て脱ぎ捨てた。パンイチ姿になった俺に対して、ルーナは手をかざし、何やら魔法を行使する。身体中が光に包まれた後、俺の装いは、引き締まった黒いスーツ姿に変わっていた。
「おお……! すげえ!」
「これなら、問題なさそうですね。動きにくくないか、確認してみてください」
「わかったぜ! ……むんっ!」
ブチィィイイン!!!!
フルパワーで全身の筋肉に力を込めたら、引き締まっていた黒いスーツが派手に弾けとんだ。
「……ちょっと何やってるんですか。なぜ筋肉の動作確認をしたんですか。普通は肩回りの動かしやすさだとかをみますよね……?」
「わりぃ。ついスーツの圧迫感で抑圧されていた筋肉が
「はぁ……こんなことなら、身体強化のスキルは店につくギリギリで切ってもらった方がよかったですね……」
怒りを通り越して呆れてしまったルーナは疲れ切った表情で、再び俺の身体に黒いスーツを生成した。
ようやく高級レストランへ向かう準備を終えた俺たちは路地裏から出て、しばらくルーナの案内で街道を進んでいくと、少し開けたところに出る。そして、目の前に飛び込んできたのは、広い敷地を持つ白亜の豪邸だった。そこでルーナが足を止めたので、知り合いの家なのかなと思って聞いてみる。
「なに、ここルーナの友達の家とか? すげーデカい家だな」
「……違います。ここが、超高級レストランです」
……どうやらここが、目的地らしい。
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【あとがき】
第37話を読んでいただき、ありがとうございます♪
せっかくの源之助視点なので、張り切って書いていたら文字数多くなりすぎて後編は分割になっちゃいました~m(_ _)m
【ルーナ&源サイドのお話(後編②)】へ続きます。
次回はできれば今週の土日のどちらかに投稿予定です。
……無理だったら、2月13日に投稿します。
引き続き、お読みいただけると嬉しいです♪
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