いいかげん異世界転生するの、やめてもらってもいいですか? ……とばっちりで異世界転生に失敗した俺は、魔王の部下に成り下がり異世界転生を撲滅します。(仮)
第2話 女神様に祝福されて異世界転生するはずの俺が、魔王様に土下座して命乞いしてるのは、なぁぜなぁぜ/……もしかしてなぁぜなぁぜはもう古いですか、すみません
第2話 女神様に祝福されて異世界転生するはずの俺が、魔王様に土下座して命乞いしてるのは、なぁぜなぁぜ/……もしかしてなぁぜなぁぜはもう古いですか、すみません
俺、
……女神様が燃えている。
しばらく聞こえていた絶叫が聞こえなくなり、目の前には黒炎のみが、なお燃え盛っていた。
「えーと……」
俺は、女神様をいきなり燃やした魔王と名乗っていた美女に視線を向ける。
「ふむ。すごかろう。これは儂が編み出した魔法の中でも特にお気に入りのやつでのう。百万年の間、身体が燃やされ続ける苦しみを与え続け、それを百万回繰り返す魔法なのじゃ」
「ひえ……」
それが本当なら、さすがに女神様といえど、途中で精神が崩壊しちゃうんじゃ……。
などと、黒炎に包まれた女神様のこれからを心配していると、魔王を名乗る美女に話しかけられた。
「して、小僧は何者だ? もしや次なる転生者か?」
「その予定だったみたいですけど、女神様が燃えちゃったので、どうなるんでしょう?」
「さあ、儂に聞かれても」
いや、あんたが女神様燃やしたからこんなことになってるんですけど。とは、さすがに言えずにいると、魔王を名乗る美女がふむと顎に手をやり、何やら思案している様子。しかし、すぐに考えるのをやめると、恐ろしいことを口にした。
「転生とかされたら面倒じゃから、とりあえず焼くか」
「ちょっと待ったああああああああ!!」
魔王がまさに女神様を燃やした時と同じように指パッチンをしそうになっていたので、俺は全力で叫んで、その動きを止めさせた。てか、俺にも百万年燃やすやつやろうとしてなかったかこの魔王。
「なんじゃ小僧。命乞いなら聞かぬぞ。儂はこの後もいろいろとやることがあって、忙しいんじゃ」
ぐ……。先手をうって命乞いを封じられてしまった。しかし、こんなわけわからないところで死ぬわけにはいかない(いや、もう死んではいるんだっけ?)と思い、その場しのぎに言葉をつなぐ。
「俺と………………取引をしませんか?」
「ずいぶん言葉に間があったが、まあいい。取引とは?」
何とか魔王の気を引くことが出来た。とりあえず勢いでそのまま話をつなげていく。
「あなた様の今後のやることとやらに同行させていただければ、必ずお役に立ってみせます!」
とりあえず、自分を売り込んでみる。たぶん糞の役にも立たないと思うけど。
「……なるほど。ありかもしれん」
「え……?」
マジで? 自分で言うのもなんだけど、俺なんてただの
「儂はこれから小僧のいた世界を滅ぼしに行く予定じゃからな。現地の者を部下にすれば何かの役に立つかもしれん」
マジで!? え、今から地球滅ぼしに行くの? で、このままだと俺は地球を滅ぼす手伝いをさせられてしまうと。それはさすがに、曲がりなりにも宇宙船地球号の一員としてよろしくないのでは……。
「よし、小僧。特別に儂の部下にしてやるぞ。喜ぶがよい」
「……えーと、ちなみにやっぱり部下にしていただくのをやめるというのは……?」
「――焼くか」
「ぜひ、部下にしていただけますでしょうか!」
俺は迷わず土下座して懇願した。
よく考えたら、俺もう死んだから、宇宙船地球号は下船したんだった。よし、何も問題なし。
「うむ。では、小僧の故郷に行くか」
「えーと、具体的にはどこら辺に行く感じでしょうか? 日本?」
「よくわからんから、小僧の家に空間転移じゃ!」
「ええ!? いやいやいや、いきなりそれはこま――」
パチン。
「――るって、あれ、ここは……」
まごうことなき、俺の部屋だった。
読みかけの漫画本が机に放置されており、ベッドはしわくちゃ。正直、人に見せるのは
「ほう、これが異世界転生者どものいた国の文明レベルか……。なるほど、儂の支配する国と比べてもそん色ないように見えるが……これはなんじゃ?」
どうやら魔王様は地球文明の品々に興味津々の御様子。机に置きっぱなしのスマホを手に取り、なぜか匂いを嗅いでいた。
「……なんか、汗臭いのう」
「手汗がすごくてすみません……」
いや、たまにはスマホもきれいに拭いたりしてますよ? 今はたまたましばらく拭いてないタイミングだっただけで。
「これは、何ができるのじゃ?」
「えーと、遠くに離れた人と話したり、文章をやり取りしたり……ほかにもいろいろ」
「ふむ。面白そうじゃから、もらっておこう」
「え……?」
「ん……?」
「それ、俺のスマホなんですけど……」
「まあ、小僧の部屋にあったものだから、そうじゃろうな」
「ですよね?」
そう言って、スマホを返してもらおうと手を差し出すと、魔王はなぜか首を傾げた。
「……なんじゃその手は?」
「え……? いや、スマホ……」
「これは小僧の物なんじゃろ? なら、儂の物じゃ」
いやいやいや。え、この魔王様、ジャ〇アン? お前の物は儂の物。儂の物は儂の物的なやつなんですか。
……まあいいや。どうせ指紋認証の画面ロックしてあるし、使いこなせなければ飽きてそのうち返してくれるだろう。
「それで、魔王様。日本に来たのはいいですけど、これから何するんですか?」
「おお、そうじゃった。早速この世界を消すか」
魔王様が手を天井に向けると、手のひらに絶対ヤバい系のどす黒く禍々しいオーラを凝縮した球体が発生する。
「……えーと、その黒くてヤバそうなやつを、どうするんですか?」
「このまま地面に向けて放つ」
「……すると、どうなります?」
「この星がはじけて消える」
「ちょっと待ったああああああああ」
魔王様がものすごく軽い気持ちで手を振り下ろそうとするものだから、俺は絶叫して魔王様を思いとどまらせた。
「なんじゃ小僧。さっきといい、待ったと言われて、いちいち待っていたら魔王の名が
そう言いつつも止まってくれる魔王様。じつは優しい心の持ち主だったり……はしないだろうな。女神様を燃やして嬉々としていたし。俺のこともよくしゃべる猿くらいにしか思ってなさそう。
「えーと、星がはじけて消えるとき、絶対爆発しますよね? そしたらここに立ってる俺は確実に死ぬんですが」
「む。確かに小僧は爆発に巻き込まれて跡形もなく消え去るじゃろうな。そうなると再生するのも面倒じゃ……よし、ならば、こうすれば解決じゃ」
パチン。
魔王様が指パッチンをすると、もはや、お馴染みの転移魔法が発動し、次の瞬間、魔王様と俺は地球を一望できる宇宙空間にいた。
……生身のままで。
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第2話を読んでいただきありがとうございます♪
作者のコメディ化意識によって、あわれ魔王様の威厳が消えつつあります(いや、初めから威厳なんてなものは行方不明だったかも……?)。
真人はチート無双ハーレムの夢を燃え散らされ、クソ雑魚のまま土下座して、魔王の配下になり地球滅亡の片棒を担がされる羽目に……カワイソウ( ゚Д゚)
面白いと思っていただけたら♡応援&☆レビューいただけると、執筆意欲が上がりまくって、作者が覚醒します\(^o^)/
ぜひ、次のお話も読んでいただけると嬉しいです。
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