第45話 本当の探偵とは


自分の能力を使って探偵になる…


此処暫く萌子に言われて探偵を『お試し』でやってみたけど…


多分、いけると思う。


犬猫探しは結構需要があり、調べた所、他社では安い所で1日2.2万円 高い所は1日5万円を超えている。


しかも、大体が3日間以上探すコースが多い。


そして、問題は『例え犬や猫が見つからなくてもお金を取られる』という事だ。


俺の場合は能力を使えば、ほぼ見つけられるので、信頼を勝ち取るのは簡単だ。


だから、最悪『犬猫探し』の専門探偵社にしてしまっても良いのかも知れない。


それに浮気調査とかをするなら『不倫していたかどうか』最初に解るから有利だ。


後は推理小説等でよくある『事件』だが、そんな物の依頼が来ることは、本物の探偵には殆ど無いらしい。


よくよく考えたら金田一探偵も明智探偵も実在したら二流も良い所だ。


だって死人を大量に出しているんだからな。


よく考えてくれよ…依頼者って『犯人を捜して欲しいのか?』普通は違うよな?


俺は、小説は読まないが、サスペンス劇場はよく見た。


目の前で大量殺人が起きて、恋人や妻や家族が殺されていく。


1人、2人、3人と…そしてかなりの人数の殺された後に…


『解った犯人は!』と推理ショーを披露して事件を解決。


そして被害者は感謝する…?


馬鹿な話だと思わないか?


だって、普通の人なら『謎解き』よりも『家族を守って欲しい』そう思う筈だ。


謎が解けて嬉しいのは警察だけだ。


探偵に依頼して家族が皆死んで…最後に『ありがとう』


俺には言えない。


恐らく、俺なら『お前のせいで家族が皆、死んでしまったじゃないかボケ! 金なんて払えるかよ』って恐らく切れる。


当事者にとって必要なのは謎解きじゃ無くて『家族』や『恋人』の命の筈だ。


もし、貴方が家族を殺された後に『謎だけ』解く探偵が居たら『名探偵』と称えるのか?


称えないよな!


そんな奴は只のポンコツだ。


だから、あれはあくまでドラマの話。


フィクションだから許されるのであって、現実社会じゃ通用しない。



だから、今回の横田先輩の件はこれで良かった筈だ。


調べる事を止める事で萌子が助かるなら…それで良い。


もし、俺が正式に探偵になって、もしそう言う事件の依頼があったら


『基本引き受けない』


もし、引き受けるにしても『どうやったら依頼者や家族が助かるか』そこに重点置くと思う…


ちなみに、探偵の殆どの情報は近所の後藤さんっていうお爺さんから聞いた。


このお爺さんは3年前まで探偵をやっていて、今は年金で悠々自適に暮らしている人だ。


◆◆◆


「カラオケって楽しいね!」


「そうか、俺はこう言う煩いのは苦手なんだよ…まぁ萌子は歌が上手いし聞いている分には良いんだけど…此処は料理も美味いしね」


此処のお店は個人経営のお店でビルの上下に焼肉店と中華屋が入っている。


経営者が同じなのか、そこのメニューがそのまま食べられる。


尤も焼肉は弁当だけだけど。


「そう?だったら私じゃんじゃん歌っちゃうからね!」


萌子は歌を歌うのが結構上手い。


しかも振り付けまでしっかりとして踊るように歌うから凄く可愛く見える。


見ていて飽きない。


「ハァハァ、流石に少し疲れたな…約束だよ、ほら1曲歌って」


「どんな曲でも良い?」


「うん、司くんが歌ってくれるなら何でも良いよ」


「文句言うなよ!」


「うん」


「べんと…」


「なにそれ…」


「俺が知っている限り、一番短い曲だな…」


5秒で歌い終わる歌だからな…


「待って、それは流石に無いよ!ノーカウント…」


まぁこう言われるのは当たり前だな…


「じゃぁ、ちゃんとしたのを歌うよ…だけど、俺は曲を余り知らないから萌子が入れてくれ…まぁ下手なのは勘弁してくれ」


「解った…それじゃ」


俺は余り人と遊ばない人間だから、カラオケなんて好きじゃない。


だが、萌子が相手だと『楽しく』感じる。



だけど、歌うのは…嫌だな。



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