第26話 萌子SIDE 司くんが好き


私は、司くんが凄く好き。


あの全てを見透かすような金色の瞳。


私は…薄汚い女なのが…見透かされてしまう。


あの前に立つと…まるで、一糸纏わない裸になった気分になっちゃう。


それに…司くんは、アキさんの孫だからなのかも知れないわ。


何しろ、アキさんには『私の全てを見通せる様な不思議な力』があった。


私は、いつも優等生のふりをして『弱い側の人間』の皮を被って生活していたのよ…


だが、アキさんはそんな私の本性を見抜いていた。


『美味く隠しているが、アンタの本性は『悪女』じゃ、今からでも間に合う心を改めた方がええ』


初めてすれ違いざまにそう言われた時は戦慄した。


それから暫く、私は怯えていたんだけど…アキさんは私にその後、何も言わなかった。


だけど…恐らくはアキさんは『本当の私』を知っている。


多分、私の性根はきっと腐っている。


自分でも『悪い人間』だって思っているよ?


うんうん、心も体も価値が全くない…だって悪人だから。



きっと心は壊れているんだと思う。


高部麻美子を私が脅したから死んだ…その件で犬神翼も死んじゃった。


それなのに…可哀そうとか? 罪悪感が全くないんだもん。


『何も金払えば済むんだから、自殺なんかしないで金を払えば済んだのに』


そんな感じ。


アイドル売春…結局失敗…


多分、私は、完全に心が壊れているわ…


◆◆◆


壊れた心の私でも欲しい者はあるわ。


それは司くんだ…


まずは、あのアキさんの孫なのが良いわ…それにあの金色の目が凄く素敵…


司くんが欲しいから、今回行動起こしたのよ。


優しい司くんなら…絶対に同棲に持ち込む方法はあるんだけど…今回はそれを使わないですんだ…


それは諸刃の刀だからね…


うんうん、司くんが優しくて…本当に良かったわ。





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