第25話 萌子 同棲
これだけ、私がモーションかけているのに…
司くんは、本当に鈍いのか、それとも天然なのかな、思った様な反応をしてくれない。
大体、女の子が好きでも無い男の家に通う訳ないじゃない?
ゲーム機持って、お菓子持って入り浸ったりしないよね?
全くもう…
態々ミニスカートまで履いて寝転がって足をばたつかせているのに無反応なんだもん、呆れちゃうわ。
普通に考えてそんな美味しい話無いでしょう?
見る気になれば下着が見えるのに…しかもわざと派手な下着選んだのにさぁ…
結構、私足は長いし、お尻だって形もいい…
そこは、押し倒すなり、それが出来なくても触るか…ううん凝視位は普通はする筈だよね。
本当に自信を無くすよ…
正直言ってしまえば、早く既成事実を作って…
きゃははっ、凄く面白い事聞いちゃった!
司くんは『責任を取るタイプ』なんだよね…
なら、簡単じゃん!
美味く誘惑して、生でヤリまくって妊娠したら勝ちって事だよね?
うん、うん司くんとの子供なら愛せるし問題ないわ。
「萌子…」
「萌子ちょっと…」
「うっせーんだよ! 糞ジジイに糞ババア…今更親面してんじゃねーよ!」
「「ヒィ」」
さあ、どうしようかな?
この際、強硬手段に出た方が良いよね…
スーツケースを取り出して、当座の下着に着替えっと…歯ブラシに食器…あはははっ、そう言えば司くんの食器、古そうだから、この夫婦茶碗も...良いんじゃないかな?
思いつく物を片端から突っ込んで…うんうん、これで良いや。
準備完了っと…
「それじゃ、お父さん、お母さん行ってくるね! 大丈夫、必ず毎日、帰っては来るから…ね」
「「…」」
さぁ、司くんの所に行こう...
◆◆◆
「えへへっ、司くん、貴方の萌子が遊びに来ましたよ…なんちゃって!」
「あのな…その荷物なに?」
スーツケースに、手提げまで持って、まるで旅行か家出でもしたみたいだ…まさか…な。
「あのね、私、司くんと一緒に暮らしたいな? そう思って…」
「流石に冗談だよな? まぁ良いや、此処じゃ、なんだし取り敢えず入って…詳しく話を聞くから」
「うん…ありがとう…」
流石に近所の目もあるし、此処で立ち話をする訳にはいかないしな。
「それで、一体どうしたって言うんだよ? まさか家出とか言わないよな」
「ゴメン…その家出…」
「家出、マジかよ、それで何かあったのか?」
「あははっ、色々ね…家にはもう帰りたくないんだ、家事とか手伝うから此処に置いてくれないかな? なんなら、そっちの相手もしても良いから…お願い!」
「揶揄うなよ…」
「揶揄って無いよ! 私、本当に行く所が無いんだ…司くんが此処に置いてくれないなら、それこそ漫画喫茶で寝泊まりして、お金は売春でもして…」
「おいおい、だったら家に帰った方が良いんじゃないか?」
「絶対に帰れないんだ…ゴメン…此処に居させてくれない…本当になんでもするよ…」
「俺も男だぞ! 押し倒したらどうするんだよ…」
「良いよ…」
いつものおどけた様子が全く無いな。
マジかよ…
体を売って迄家に帰りたくない理由があるっていうのか…
『友達』だもんな…
だが、悪いな、本当なのか調べさせて貰う。
俺は目を瞑り、萌子が家に帰らない理由が『体を売る程重大な事』かどうか考えてみた。
すると『重大』と頭に浮かんできた。
これじゃ、駄目だ…
此処で萌子を突き放したら、出ていったあと、本当に援助交際や売春をしてしまう。
「解ったよ、だけど理由位は教えて貰えないかな?」
「ゴメン、どうしても話さないと駄目かな?出来るなら言いたくないんだ、ごめんね」
今にも泣きそうな顔だ…これじゃ無理に聞けないな。
少なくとも俺の能力で萌子が『体を売ってまで家出』をしたい程の何かを抱えている事だけは確実に解った。
「それなら、理由は聞かないよ…此処にいて良いよ! だが、俺は悪いがそんなに金は無いから、即席ラーメン位しか食わせてやれないよ」
「嘘…私…此処にいて良いの? 本当に…」
「仕方ないだろう…」
「それじゃ…早速…」
「馬鹿、やめろよ! やめろーーっ」
なんで服を脱ごうとするんだよ…
「えっ?! だって此処に置いて貰う代わりに…司くんの相手をする約束じゃん!」
「お前、そういう冗談はやめろよ! 今度やったら出ていって貰うからな…」
「だけど…」
「だけどじゃない…」
「そう、司くんって凄く優しいんだね…」
ハァ~此処迄追い詰められていたのかよ…
「良いから座ってて、今麦茶入れるから」
「ありがとう…」
つい流されて『居て良い』なんて言ってしまったけど…
これどう考えても同棲だよな?!
不味く無いか…
だけど、今の萌子は追い出す訳にいかないよな…
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