第36話 愛おしい笑顔


「今日もお味噌汁が美味しい…」


「昨日と同じだよ…」


「司くんが作ってくれるから美味しいのよ」


「そう…ありがとう」


萌子は完全に俺の日常に溶け込んできた。


まるでそこに居るのが当たり前の様な存在だ。


「それで、司くんはやりたい事、したい事は無いの?」


「特に無いな」


「そう? そう言えば、毎日、お稲荷さんにお参りに行くけど?!何か理由があるの?」


信じる、信じないは別として伝えるべきだな。


少なくとも萌子は俺の事が『好き』なのだから、誠意として伝えるべきだろう…


「俺には秘密がある、此処迄来たんだから全部話すよ!」


「解った…教えて!」


俺はお婆ちゃんの話から始まり、自分の目の事、そして能力について萌子に話した。


「驚いた?」


「少し驚いたけど…信じるよ! 私も少し不思議な経験してね、生涯の伴侶は司くん…そう子供の頃に不思議な存在から聞かされた事があるから…」


「そうなんだ」


俺に不思議な事が起きたんだ。


萌子に起こらないとは言えない。


「それなら、明日から私も稲荷神社にお参りに行くよ」


「そう…それじゃ明日から一緒に行こうか?」


理由は解らない。


だけど、俺は…萌子に運命の出会いを感じた。


きっとお婆ちゃんやお稲荷様が出会わせてくれた…大切な存在。


そんな気がした。


「うん」


俺が見た萌子の笑顔は、今まで見た誰よりも可愛く愛おしく思えた。


(第二章 完 第三章に続きます)




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