第5話 過程推理


第5話 過程推理


『犯人は陽子』


これは、俺の頭に浮かんだし間違いはない。


だけど梅川先生の話では


『やはり、そうでしたか? 三浦陽子さんが私は悪くないと言い張るので帰しましたが…間違いないですね?』


と陽子は『悪くない』そう言っていたのが解る。


幼馴染だから解るが、陽子は責任逃れするような人間じゃない。


一体、何があったと言うんだ…解らない。



◆◆◆


お婆ちゃんに相談してみた。


「お稲荷さんの力を使ったのかい?」


「うん、三軒隣りの陽子が実は…」


俺は学校での事をお婆ちゃんに相談した。


「まぁ、そういう事なら仕方が無いかもしれんが、余り過ぎた力は使うべきじゃないよ! あのお稲荷さんに祀られているお狐様は徳が高い方じゃから、嘘はない!所で司は『こっくりさん』は知っているかい?」


「あの、紙に書いてやるやつでしょう?」


「そうじゃ、司の能力は恐らく、それに由来している。そう考えたら答えしか解らないのは当たり前の事じゃ、その答えに何故なるのか知りたいなら、自分で動き、考えるしかない」


確かに言われてみれば、こっくりさんは答えは解るけど、細かい事は解らない。


それが元だとしたら、細かい事は自分で考えるか調べるかしないといけないのか…


「確かに、そうだね」


「良く考えてみい。同じ加害者でも状況によって違うじゃろうが?例えば、『殺されそうになった者がもみ合って殺す』『ただ遊び半分で人を殺す』おなじ殺人の犯人でも全く状況は違うし、罪の重さも違う」


言われてみれば、その通りだ。


「確かに」


「お前は、先に答えを知る事が出来るんだから『何故そうなるのか?』じっくり考えて見たらどうじゃ? 普通の人間は『答え』を見つけるのに努力するが、司、お前は理由を知る為に努力をすれば良いのじゃないか?」


確かにそうだな…俺は陽子が何故、そんな事をしたのか調べるべきだ。


陽子は泣きそうな顔をしていた。


幼馴染としては、話をまず聞くべきだろうな。


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