第31話 萌子 悪魔が誕生した日


「ポチ、たま、おはよう! 今日はちょっと良い事があったからご馳走だよ! ヒューマンフードに缶詰めを掛けてあげるね…折角整腸サポートにしたのに…臭いわね」


そう言いながら私は大型犬ようのペッシートの交換をし始めた。


「…助けて」


「助けて、萌子…」


あら、あら、声も随分枯れてきたわね。


「助けて?! 助けてあげているじゃない? こうして檻の中だけど、生かしてあげているわよ? 殺さないだけましだと思った方が良いわ…貴方達が、私にした事、忘れてないわよ!」


「…萌子、俺が悪かった…」


「お母さん…が悪かったから」


「謝っても遅いんだよ!ハァ~バーカ! 獣を獣扱いして何がいけないのかな?」


ポチとたま…昔は私の親だった人達だ。


今の私にはペット以下。


犬や猫の方がまだ可愛い。


うちの母さんはシングルマザーの時は本当に素晴らしい母さんだった。


前のお父さんは暴力を振るう男だった。


暴力を振るうお父さんからは良く守ってくれたし、勇気をもってお父さんと離婚してくれた。


その後は母子貧しいながら仲良く暮らしていたんだけど…


この男、名前を呼ぶのも汚らわしい。


『ポチ』で良いわ…この男と付き合ってから、母は変わってしまった。


◆◆◆


「嫌だぁぁぁーー助けてお母さん…助けてーーっ」


「こんな、良い生活させて貰って居るのに逆らうんじゃないよ」


犯されそうになっている私に母さん、いやたまが掛けた言葉がこれだった。


「嫌だーーーっ」


バシッ


「お母さん…」


「逆らうんじゃないよ、女にして貰えるんだ、良かったね萌子…」


そのまま、私は小学3年生で初めてを奪われ…事実上、この男の奴隷になった。


この男の目当ては、母さんじゃなく『私だったんだ』


投資家のお金持ち…それは表の顔で、この男は重度のロリコンだった。


それだけなら、まだ良かった。


良くは無いけど、良かった。


私には当時付き合っていた男の子、武くんがいた。


子供の恋愛…ただ彼だけが心の支えだった。


義父に犯されながらも私はそれを誤魔化して、小さな幸せを感じる時間があった。


だが、このクズは、それすら奪った。


「武くん、武くん、いやぁいやぁぁぁぁーーー」


「そら、お尻上げろよ…」


「嫌だよぉぉぉぉ」


「散々、やっていたんだろう…僕にもやらしてよ」


自分がしている事が子供相手とはいえ、バレたと思ったこの男は、武くんをも巻き込んだ。


『黙っていてくれたら萌子をお前にも抱かせてやる! 警察に言うなら言えば良い! 俺はただ逃げるだけだ! そうしたら萌子とお前は会えなくなる…どうする?』


私は信じたかった、武くんなら助けてくれる、そう思っていた…だが武くんは警察を呼ばずに、私を犯す方を選んだ。


その結果…私の初恋の相手はレイプ魔になった。


そして、武くんは口が軽く…話が学校で漏れた…


あの男と武くんだけじゃない…沢山の同級生にも話が漏れ『汚い』と罵られ、揶揄われたり、いたずらをされ、時には犯される様になった。


流石に噂になり、児童相談所も動き出し、これで本当に助かる…そう思ったの。


だけど、動き出す前に ポチとたまは私を連れて逃げた。


そして、この場所に…来た。


それでも私は頑張ったんだ。


もう『汚されちゃった』物は仕方が無い…だから体を使って稼ぐ事にした。


私は、二人から逃げ出す為に、援助交際をしてお金を稼ぎだした。


私が援助交際をして不良娘を装っていたら、あの男は関心が無くなったようだった。


母さんだった、たまは『真面目になりなさい』そう言ったが…私が可笑しくなったのはお前達が原因だ、ちゃんちゃら可笑しい。


ある日突然、憎しみがこみ上げてきた。


「うるせい、ババアーーっ!」


そう言って殴ったら歯が折れて泣いていた。


怖かった両親の片割れはこんなに弱く脆かった。


「あははははっ、こんな物だったのね…クズ」


殴っただけでこれ? 


鼻血だして泣いてやんの…やめるかよ馬鹿!


ひたすら殴ったら…謝ってきて…


受けるんですけど?

「やめて、やめて頂戴、お願いだから…」


「やめる訳ねーだろうババアが…きゃはははははっ…ハァハァ」


簡単だった。


ただひたすら殴るだけで母さんは動かなくなった。


息をしているから死んで無い。


此処は東方のお屋敷街の豪邸。


私を犯す為に作られた全室防音…誰にもバレないよ。


◆◆◆


後はあの男だ。


どうせ、部屋にいる。


後ろからゴルフクラブで殴った。


「なにするんだ! 僕がなに…を」


「きゃぁはははは!僕じゃねーんだよ! ロリコン親父死ね、死ね、死ねーーーっ、今まで散々犯しやがって」


「ひぃ~たた助けて、僕が悪かったから…お金ならあげるから…」


「知らねーよ、犯されて痛がっている私を笑ってみていただろう? バーカやめるかよ」


殴り続けたら..


「ごめん…なさい…ごめん…なさい」


なんでこんなの恐れていたんだろう…あーあっ…


「やってらんねーや!」


歯が何本も折れて泣き叫ぶ男を母さんと一緒の部屋に放り込んだ。


『このままで良くない?』


私が出ていくことはないじゃない?


そのまま、2人に復讐されたら困るので、ひたすら手足が変形するまでゴルフクラブで殴った。


これでもう逃げる事はおろか、何も持つことはできないだろう。


念のため私は通販で手錠、足鍵を購入してこの二人に嵌めた。


そして、目に入ったら危ないという洗剤を目薬の様に顔にかけて視力を奪った。


これで私の勝ちだ。


この家は私に暴力を振るう為に防音は完璧。


私を閉じ込める部屋まであったから…あはは…今となっては凄く便利だ。


男は友人も居ないし、それは母さんも同じ。


恐らくバレない。



そして、私を犯したあの男にPCを使って、投資の取引を手じまいさせた。


「此奴、金を稼ぐ能力はあったのね…12億円もあるじゃない」


2人を閉じ込め、犬や猫のように扱い…私はこのお金を使い生活している。


恐らくバレる事は無いし、万が一バレても、虐待の証拠や私を犯した証拠は山ほどある、未成年だしどうにかなるような気がする。


多分、殺さなければ大丈夫よ。


◆◆◆


「それじゃぁね…ポチ、たま、今度から夕方に1回くるわ…良い子にしているのよ!」


「…助けて」


「…」


「良い子にしているのね? 悪い子にしていたら…殺しちゃうから」


司くんの朝食楽しみだな。


私はお世話を終わらせて家を後にした。



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