第51話 女子高生自殺事件 あの夜の真相


最近は、陽子と一緒に良く司くんの元に顔を出している。


別に恋人でも無いのに陽子は司くんの傍に居る。


陽子は、恋愛感情は無いみたいだから、別に良いんだけどね…邪魔。


「司くん、可愛いね、その目見せてよ!」


「あのね、萌子ちゃん、誤解されちゃうからそれ止めなよ!」


別に彼女でも無いんだから邪魔しなくて良いじゃん!


「え~別に良いじゃん!司くんだってこんな美少女に見つめられて嬉しいよね?」


この金色の目、凄く素敵で、うんうん何時までも見つめていたい位素敵…何時間でも見ていたくなるんだよね。


「自分で美少女って…まぁ確かに萌子は可愛い方かも知れないけど、周りの目があるから、少し自重して欲しい」


「自重…って事はやめないで良いんだよね?!」


「まぁ、同級生は事情を知っているから、別に良いけどね」


何故か、私が『翼くんの目』だけを好きって変な噂が流されているけど…いきなり距離を詰めるのも難しいし、今は傍に居られるだけで…良いかな。



◆◆◆


最近、司くんが高部先輩について調べ始めた。


陽子の話では通学路に高部先輩が自殺した公衆便所があり気になりだしたらしい。


私は脅しただけだし、何処にも証拠はないから大丈夫な筈。


ただ気になるのは、司くんはあの霊能者 アキさんの孫だ。


だから、もしかして霊と関わる事が出来たら…どうしよう。


それだけが怖かった。


元から司くんを付け回すのが、私のライフワークだ。


暇さえあれば司くんの傍に居る。


すぐ傍に居られなくても、極力傍に居る。


それだけで…うん、凄く幸せ…


◆◆◆


その日の司くんは陽子と一緒に帰っていた。


方向が逆なのが恨めしい。


家について様子を見ていると、司くんは私服に着替えて出かけるようだった。


後を付いて行くと、元弥生第3公衆便所を調べ始めた。


中に入ったら流石にバレるよね。


だから、近くにあった壊れかけの屋台の後ろに身を隠して見張っていた。


最初、男子便所に入った司くんは、次に女子便所を調べようとしていた…?


あそこに誰かいる…あれは大神先輩?


高部先輩を妊娠させたのは大神先輩だ。


司くんはそれに気がつかずに女子便所の封鎖を壊して入っていった。


「ぎゃぁぁぁぁぁーーーーーー」


司くんの悲鳴が聞こえた。


私は偶々持っていた家庭科の布で即席マスクを作り飛び込んだ。


『おんぎゃぁぁ、おんぎゃぁぁ、おんぎゃぁぁぁ』


しかし、発情した猫の声はまるで赤ん坊の無き声みたいで、気持ち悪い。



此処は、山中に近いせいか野良猫が多い


血だらけの司くんを見た私は護身用に持ち歩いていたナイフを出し、大神先輩を刺しに行く。


ナイフは大神先輩の肩を掠らせた。


「次は…殺す」


私が脅しを掛けると大神は慌てて走り去っていった。


脅しを掛ける為に低い声にしたから、まるで男の声みたいだ。


司くんをどうするべきか考えた。


このまま病院まで寄り添いたい。


そう思ったけど、私がストーカーみたいに付け回しているのがバレるの嫌だから…グッと我慢して、救急車だけ呼んで、その場を後にした。





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