第50話 【萌子SIDE】女子高生自殺事件 動機:誰でも良いから汚したかった。


私は『仲間』が欲しかった。


誰でも良いから汚したかった。


皆の中で私だけが汚い。


私だけが…醜いし…汚されている。


1人は嫌だ…


だけど、どうして、あの程度の事で『自殺』を選ぶのかな?


高部先輩も馬鹿だよね…大神先輩が好きで子供が出来たんなら、借金してでも結婚すれば良いのに。


避妊もしないでヤルからそうなるんだって…


産みたいなら産めば良いだけだよ!


真っすぐに生きるなら簡単だよ…


最後まで自分を貫いて産めば良い。


勿論、芸能界を引退しないといけないかも知れない。


『だけどそれが何?』


子供が大事なら、母親なら戦えって言うの!


それが駄目なら、昔の私みたいに堕胎すれば良い…それだけじゃない?


『母として全てを捨てても、絶対に産む』


『嫌なら堕胎する』


その二つの選択をすれば、私はつけ込む事は出来なった。


だが、高部先輩はどちらも選べなかった。


「先輩がエッチな事して妊娠した証拠ですよ? 買ってくれないかな?100万円で良いや」


まぁ、本当にお金を渡されても困るけどね。


買えないのを見越して言っているんだから…


「私、そんなにお金持ってません…その5万円位しか」


「はぁ~そんな端金で済むわけ無いでしょう?」


「だけど、お金はお母さんが管理しているから、そんなの無理です…」


本当に私はお金が欲しかった訳じゃない。


これは私のある意味賭けなのよ…


お金が用意できないならどうするのかな?



簡単だ…


芸能界をスパッと引退して子供を産む、もしくは堕胎して無かった事にして芸能界を続ける。


その二つしかない。


だが、高部先輩はそれが出来なかった。


これで、私と同じ『汚い女』仲間が出来るかもね。


「そう? それなら良い事思いついたわ! 貴方売春しなさいよ! なんならお客は私が探すわ、現役アイドルの先輩が体売るなら幾らでも稼げるよ…うんうん、それが良いよ、もしくはAVって手もあるわよ」


「嫌です…」


嫌ならどうすれば良いか簡単だ。


選択すれば、この話は意味が無い。


「嫌ですじゃ無いんだよね! 妊娠した事がバレたら、アイドルだから莫大な違約金とか大変なんじゃないの? 良いのかな~」


子供を愛しているなら『お金』なんてどうでも良いんじゃない?


『妊娠して居ませんよ』そう言って堕胎すれば終わり。


『芸能界を引退して子供産むから』それで話は終わり。


芸能人、もしくは母として生きていく強さを示したら、それで終わり。


それが出来なければ…私と同じ汚い女に出来る。


「それでも嫌です!」


パンッ


此奴、本当に馬鹿ね『嫌』ばかり…本当にムカつく。


私は高部麻美子の頬っぺたを引っ叩いた


「煩いな、それじゃ良いわ、この証拠何処かの出版社に売り込むから、そうしたら人生終わるんじゃないの?」


「ううっ…」


「ねぇ、私だって鬼じゃないからさぁ、100万円分稼いだら解放してあげるから、売春頑張ってね」


「解りました…ううっうう…うわぁぁぁぁーーん」


これで『私と同じ』


汚れた人間に高部先輩もなるわ。


私は何時も孤独を感じていたの。


誰よりも汚い女…そういう劣等感。


これで、この女も私と同じ…『汚い女』になる。


だけど、高部先輩、貴方は幸せよ…


最初の相手は選べたのだから、私は選べなかった。


まぁ、次からは選べないけどね…


お金は私も要らないから…汚れた後に全部返してあげるわ。


『本当に詰まらない』


なんで死んじゃうのかな?


3つも選択肢があるのに、なんで逃げて死んじゃうのかな?


私の地獄より遥かに軽い世界…死ぬ理由が本当に解らないわ。



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