第53話 萌子SIDE 横田先輩 答えはもう見れない


横田先輩も死んじゃうんだから、本当に馬鹿だよね。


殺人クラブの新しい噂を聞いて『呪いの木』に5万円も置いて行くんだもん。


しかも、ご丁寧に殺したい相手の名前と自分まで書いて…馬鹿じゃ無いの。


この手紙とお金を見つけたのは偶然。


呪いの木が司くんの家から割と近いから、見たらあったそれだけ。


面白いから『殺人クラブ』の名前で呼びだしたのよ。


勿論、顔を隠して…


「殺人クラブは、本当にあったのですね! あの…これで本当に美幸を殺して…」


「手紙は読んだ…だが、我々の欲しい物はお金じゃない、覚悟です!」


「覚悟…ですか? 美幸を殺してくれるなら何でもします!」


「そう…解りました…それなら、今日から1か月、売春をしなさい…金額は1件1.5万円 10人相手に体を売り…15万用意しなさい、そうしたら確実に美幸さんを殺してあげます」


「そ…そんな」


「我々が欲しいのは覚悟です! 自分が地獄に落ちても相手を殺したい覚悟…まずは3日間以内に1人客をとる事」


「そんな、私出来ません…やり方も解りません…」


「大久保の公園通りに立っていれば、すぐに声を掛けてくるわ…5万円はお返しします…ですが、もし実行して無ければ…この手紙は『美幸さんに渡します』それでは3日後…」


結局、3日後、横田先輩は来なかった。


だから、約束通り、この手紙は『美幸さん』の机に入れて置いた。


この手紙が美幸さんの手に渡ったせいで、虐めが悪化したせいなのか…それから暫くして…横田先輩は自殺した…


人を殺したい癖に自分が汚れる事を嫌う。


そんなクズだから死んで当然だよね…


それじゃ、本当に売春してお金を用意してきたらどうしたって?


横田先輩が選ばなかった以上はその答えはもう見れない。


だけど、汚れた存在になれば『私と同じ』だから…美幸さんを殺したかもしれない…多分ね。



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