第44話 推理放棄


此処に来てみたけど「ふぅ~」何か追加で解かる事は無いな。


調べたけど、本当に何も見つからない。


よく考えて見たらお婆ちゃんが生きていた頃に『この木は自分の場所を返して貰ったから悪さしない』そう言って来た気がする。


まぁ、能力で調べた時も『この木は関係ないんだから』仕方ないな。


殺人クラブの方のスピーカーも調べてみたがホコリを被っていただけで何も無い。


「司くん、何か解った?」


「全然、解らないな…最初の時から、何も変わらない」


「そうなんだ…」


そもそも、自殺とはいえ人が死んでいるんだから警察だって調べるだろう。


その結果、解決した事を今更調べてなんになるんだ。


そもそも、横田先輩なんて知り合いでも何でもない。


知る意味なんて無いのではないか?


此処迄で解った事。


『呪いの木は関係ない』


『殺人クラブは解らない』


『横田先輩の死に萌子が関与している』


この3つだけだ。


高部先輩の時の様に現場も解らないし、その場所が保管されている訳でもない。


それに、自殺したのは解るが、どのように死んだのかすらも解らない。


この状態からじゃ、如何に名探偵でもこの謎は解けないだろう。


「そう言えば萌子は横田先輩と付き合いがあったのか?」


「えっ、どうして?」


「いや、能力で調べた時『萌子が関与している』そう出たし、態々俺に調べさせる位だから関係あるのかな? そう思って」


「うん、ちょっとした顔見知り、読書クラブで一緒だっただけで、挨拶位しかした事は無いよ!だけど、それでも身近な人が亡くなったとなると気になるじゃない?しかも、死んだという話を誰も聞いて無かったから、気になっただけだよ!」


「そうか…」


「うん、そんなに親しく無くても知り合いが不思議な死に方したら気になるじゃない?」


まぁ、確かにそうだな。


「それなら良かった…心配だったからな」


「心配?!」


なんで驚くんだ…


「心配するだろう?変な死に方に萌子が関わっている。横田先輩は噂だと可愛かったと言うし、もし殺されたのだとしたら、次に狙われるのは萌子かも知れない…そう考えられないか?」


「そうか?!うん、そうだよね! それで司くん、私を心配して最近は今まで以上に傍に居てくれたんだ…ありがとう」


「それもあるけど、まぁ彼氏だったら、傍に居るのは当たり前だろう?」


「そうだね…うん、ありがとう! 司くん」


俺はどうすれば萌子が事件に関らずに済むか、能力を使って調べてみた。


『何もしない事』


それが頭に浮かんだ。


何もしなければ、事件に関らずに萌子は安全。


それなら、この事件に関る必要は無いな。


「それで、萌子…この事件からは手を引く事にしようと思う」


「え~と…どうしてかな?」


「いや、この事件を俺が調べようと思ったのは『萌子』が関りがあるからだから…余りに謎が多くどうしようか悩んでいたんだ! 萌子に何かあったら困るし、出来るだけ傍に居て守ろうと思っていたんだけど…」


「それで、どうかしたの?」


「いや、萌子が事件に巻き込まれない方法を能力で調べて見たら『何もしない事』そう浮かんだんだ! だからこの事件に関るのはやめよう!萌子も悪いけど、この事件について調べるのは無しだよ…それで良いかな?」


「うん、司くんがそう言うなら、それで良いと思う! 私の事を思っての撤退だもん! 文句なんてないし、そもそも腕試しみたいなものだから気にしないで…」


「そう、それなら良かった」


「うん、一応、は簡単に調べたけど、横田先輩は自宅で自殺したみたい…でも横田先輩の葬儀の後、引っ越しちゃったから手詰まりだから、丁度良かったかも知れないね! それじゃ残念会何処に行こうか? 焼肉、お寿司、カラオケ?何処が良いかな?」


「相変わらず、萌子は元気だな! 何処でも良いけど、俺はカラオケは苦手だから萌子の歌は聞くけど、俺は歌わないよ…」


「え~っ! それじゃカラオケに行こう! だけど1曲だけで良いから歌って欲しいなぁ~」


「俺は歌は苦手なんだよ…悪い」


「え~っ1曲だけで良いから歌って…この通りお願いっ」


ハァ~仕方ないな。


「解ったよ…1曲だけだからな…」


萌子に連れられて仕方なくカラオケに付き合う事になってしまった。


以前の俺なら絶対にカラオケになんて行かなかったな。


多分、陽子に誘われても逃げていた筈だ。


萌子に誘われたら…しぶしぶでも行こうと思うのは…なんでだろう…


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