第22話 萌子が遊びに来た。


「今日は陽子は来ていないよ?」


「そうなんだ?! まぁ良いや折角だから遊んでいっても良いよね?」


流石に追い返すのは悪いよな。


「別に構わないけど? 麦茶しかないよ」


「陽子から聞いたよ! 1人暮らしも大変だよね!金欠なのは聞いたから、はい差し入れ…それとこれ持ってきたんだ、古い物だしあげるよ」


ポテチにチョコレートにドリームステーション、随分古いゲームだな。


「なんだか悪いね」


「良いって、良いって私と司くんの仲じゃない?」


「余り、そういう事言っていると周りから誤解されちゃうぞ?」


「別に構わないよ! 彼氏とか居ないし…」


「そう、まぁ良いや、俺も彼女とか居ないし」


「そうかな~怪しいなぁ~陽子の事はどうなの? 彼女じゃ無くても好きなんじゃないの?」


幼馴染っていうか腐れ縁って感じだよな。


「小さい頃から一緒に居るせいか、そう言う目で見られなくなった。そんな感じかな?多分、陽子も同じじゃないかな?確かに親友とか大切な存在ではあるけど、多分恋人とかには成れない気がする」


「そっか」


「まぁ、そんな物だよ」


しかし、萌子も随分と暇なんだな。


友達だって沢山居るのに、何で今日も来たんだろう?


「そう言えば、司のお婆ちゃんって霊能力者だったんでしょう?」


「まぁね、だけど勘違いされたくないから言うけど!そんなに凄いもんじゃ無いよ? 赤ちゃんの疳の虫封じとか多少相談に乗る程度の町内限定の霊能者だからね、TVや小説みたいに凄い能力がある訳じゃないよ」


「そうなんだ? だけど司くんも何か霊能力が使えるんじゃないの? その目…三千世界を見渡せる神の目だったりして?」


どうせ、本当の事言っても信じて貰えないし、気味悪がられるだけだから、言わない方が良いよな。


「そんな訳ないよ…俺はてんで駄目、お婆ちゃんから何も受け継いでないよ」


「そうなの? 残念」


「親戚に霊能者も居ないし、父さんも母さんも、なんの能力も持って無かったよ、お婆ちゃんだけが偶々、持っていた能力なんだと思う! それより折角持ってきてくれたんだから、テレビに繋ぐからそれで遊ばない…そろそろポテチも食ってよいか?」


「そうだね、やろうやろう…お菓子は適当に開けて食べて良いよ」


今日も萌子は美少女モードだ。


友達が少ないし、いつも暇しているから遊びに来るのは問題ないんだけど、俺だって男だ。


『好かれているんじゃないか?』


誤解するぞ…


まぁ間違っても無いんだろうけどな…


結局、萌子はこの日、夜8時までゲームで遊んでいき、俺が家の近くまで送っていった。



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