第3話 贈り物(ギフト)

『多少の視力とちょっとした物をやろう』


これの意味が最近になって解った。


それは、物事の答えが解る。


そう言った能力だった。


例えば、算数の問題を見て答えを知りたい。


そう思って目を瞑ると目に正解の数字が見えてくる。


そんな感じだ。


この能力は凄い事に新聞の記事を読んでも、架空の推理小説を読んでも望めばしっかりと犯人の名前が浮かんでくる。


だが、この能力で解かるのは、この場合はあくまで名前だけ。


その人間の容姿や何故そんな事をしたのか?とか一切解らない。


どうして、こんな能力を貰えたのか解らない。


俺は、お婆ちゃんにこの事を話した。


「羨ましいのう、それはお狐様からの贈り物じゃ…良かったのう!これからもしっかりお祀りするのじゃぞ」


そう言われた。


「だけど、どうしてこんな能力をくれたのか解らないんだけど!お婆ちゃんは解る?」


「あくまで予想じゃが…」


そう言ってお婆ちゃんは、お茶を入れてくれた。


お婆ちゃんの話では、俺に目をくれたお稲荷さまは大昔『こっくりさん』の聖地だったそうだ。


いつも、幾つかのグループがお稲荷さんのある場所の近くで『こっくりさん』をしていたらしい。


学校や他の場所で行うのとは違い、この場所でこっくりさんを行えばかなりの確率でお狐様が降りてきてくださるのだと。


他の場所で行うこっくりさんと違い、この場所で行う時は必ず最初に社に手を合わせて油揚げかおいなりさんをお供えしてから行い、帰りには社にもう一度手を合わせる。


そういうルールがあった。


その為、お婆ちゃんが子供から高校生だった頃は沢山の油揚げやおいなりさんが上がっていたそうだ。


だが、近くの学校や周りの大人がこっくりさんを行う事を禁止。


その結果、今ではこっくりさんを行う人はいなくなったそうだ。


「それとこの能力はどう関係があるの?」


「文字が見えるのじゃろう? 余程、司は気にいられたのか、恐らく『こっくりさん』の能力を下さったのじゃないかな? あくまで婆ちゃんの予想じゃ」


確かに浮かぶのは途中を省いた物ばかり…言われてみれば『こっくりさん』に近いのかも知れない。


「成程」


「まぁあくまで婆ちゃんの考えだ…本当の所は解らないが」


確かに言われてみれば近い気がする。


案外、正解かも知れない。



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